28話 武闘会、その8
久しぶりのアート視点
「続く第5試合、一回戦目とは思えない密度の試合を繰り広げてくれたチームアルファルドー」
「対するは、蟲族を下し下馬評を覆した、魔道騎士団」
「ここが最大の踏ん張りどころだ、気合いいれていくぞ‼」
「「「「おう‼」」」」
魔道騎士団の面々が声を上げる
「それでは、スタートー」
上空へベル、ロウク、セインが上がる
ストーク、シュドウは地上で背中合わせになる
とりあえず少人数の方から落とすのが定石だと、地上に残った方へ仕掛ける。
防御姿勢を取らない。カウンターを決めるつもりか、私たちの戦いを見ていたのなら私が速いことも、罠を使うことも知っている。なら、動かずにカウンターを狙うのは分かる
チュンッ
視界の端を光が通り抜ける。横に飛び退きカウンターを避ける。刃が消し飛んでいる。確か神聖魔法にこのような攻撃魔法があった筈だ。よく見ると、二人の回りを黒い鳥の羽が守るように周回している。
ロウクというやつが背中に着けていたものか、真っ黒な装束だったがあれで聖職者…
「タルフ様、どう思いますか」
「上のやつを攻略しないとダメなタイプだな」
「私もそう思います」
「兄さん達はしたのやつらを頼む」
「ハーッハッハー、任せておけ」
上にいる3人と同じ高さへ上がる。途中魔法による妨害もあったが全て躱した。
魔法と、羽の段幕の密度が上がる。羽を使って魔法を反射しているようでかなりの鋭角で魔法が曲がる。
羽を叩き切りながら近づいて行く。向こうからも黒い影が飛び出し迫る
ギリギリギリ
こちらの刃と向こうの手のひらが鍔迫り合いをする。体を捻り上方向からの斬撃を放つが、マントに防がれる。
タルフの方は私に裂く弾幕が減ったことで増えた弾幕を捌くのでやっとのようだ。
ギィン
こちらは、少し離して持っている武器を使おうにも、変える隙を与えない猛攻が襲う
相手がインファイトが主体なためこちらの間合いに引き込めない
現状拮抗、いや若干押されぎみか。負けられない、そろそろ聖具をつかうか
「ベル‼武装を限界まで上げろ」
追加のパーツのようなものが飛んでくる。ベルが距離を取るとそのパーツの元へ近づく。投げナイフで妨害するが、まるで意に介さない。
ガシャン
腕と足、顔、胴回りに追加の武装が取り付けられる。目は金色に変わり瞳孔が縦に割れる。魔力の雰囲気も変わり重たくなったように感じる。姿勢も二足歩行から四足歩行気味に変わる。
「ゴォオオン」
大きな金属同士が擦れ合うような、耳障りな咆哮が空気を揺らす。
ギィン
それは無意識だった、命を刈り取る攻撃に対し長年の経験と本能が防御姿勢を取った。それでも後ろへ吹き飛ばされる。それほどの重さの攻撃
「『起動』『展開』」
詠唱を省略し、無理やり聖具を展開する。
ギリッ
今回は受け止められた
「ゲホッ」
血を吐く。無理やり展開したせいで体に負荷がかかる。
鎧は隙間がある。そこを狙えば…
ガキッ
「ちっ」
外側から見るとプレートをつなぎ合わせたように見えたが、中は鱗が生えている。
「グルルル、グワァ」
相手は歯をむき出し唸り、躍りかかる。
右の振り下ろし、左のパンチ、背後を取り、かかと落としの連続攻撃が繰り出される。その隙に回転の力を利用して剣を振り抜く。首に受けるがダメージは無し。振り抜いた腕に噛みついてくるので後ろへ跳び避ける。こちらを向いたところで、すかさず顔に投げナイフを投げる。きれいに当たっているのに効果が無い。
防御も回避もしない。防御力に胡座をかいた、いや違うな選択肢がそもそも無いのか、敵味方の区別はついているようだが、ひたすらに攻撃をする。まさに獣のような戦い方。
なら、話が早い。
こちらの最大火力をぶつける。そのためには距離を離す。これは、希少性が高かったので使いたくなかったのだが…しかたあるまい。
ガシャン
ガキッ
こちらに飛び出し、殴りかかった拳に鎖を取り付ける。一回限り十数秒しか使えない、空間固定錠で空間に固定。この隙に距離をとる
1秒、2秒、3秒
動けないことがわかった相手が魔力を練り始める
4秒、5秒
距離を取り終える
「これから、7秒後、首に攻撃を仕掛ける‼︎」
攻撃場所、時間の宣言をすることで契約魔術により自分の魔力を隷属できる範囲を一時的に上げる
6秒、7秒、8秒
周囲の魔力と道中の魔力を隷属、能力を使い加速する
9秒、10秒、11秒、12秒
ガキンッ
加速が完了。それと同時に固定器具が外れる
加速が済んだ魔力に乗り、各関節、剣に至るまで全てを魔力で後押しすることで限界まで加速。相手の方から黒い魔力玉が射出される。このスピードを殺したくない。当たった箇所がぼんやり黒くなり後ろに引っ張られる感覚がくる。移動阻害の魔法だったらしい、体内には影響がない、そのまま間合いまで近づき剣をふる
ギィン
手応え…あり。後ろで首から血を吹き出し墜落する。完全に断ち切るつもりでいたのだが、半分程で止まっている
フッ
それと同時に魔法の影響が消えた。これを使わされるとは…単体でドラゴンレベルの強さだったのだろう
残りは簡単だ上空で支援している二人はこの状態なら簡単に落とせる
ベルがやられたことに気づいた二人は地上へ降り仲間との合流を目指す。逃すか
トンッ
さっき隷属した魔力の余剰分を使い加速、一瞬で目の前へ迫る
「チッ」
周囲の羽が動き消滅させる光を放つ
キィン
甲高い音と共に、刃に当たった光が弾かれる
ストッ
ストッ
二人の首が落ちる
何か魔法を用意していたが発動する前に切ったので発動せず
ドォン
下で轟音が響く。シュドウとストークが束になり吹き飛ぶ。羽による防御がなくなったので一瞬でやられたようだ。
「勝者、チームアルファルド〜、上空まで幅広く使った見応えのある試合をありがとうございました」
魔道騎士団の名前の由来は
シュドウ→酒呑童子
ストーク→デスストーカー
ベル→ベルドラ
セイン→セイレーン
ロウク→クロウのアナグラム
になっています。うん、安直
黒を基調、メガネ聖職者って、良くないですか?




