表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/65

ジェスタの戦い

城へ向かって走りながら、ジェスタはラズレックに言った。


「城が見えた。先に行きなさい。もう守りは組まれている。あなたなら、大地から城へ、城から王の間へ、あっという間でしょう」


ラズレックは応えない。


「ラズレック。あなた、私が銃に撃たれることを危惧しているわね。周囲を探っているんでしょう」


そう言いながら、ジェスタは自分の周りに水の魔術をかけた。

姿がゆらりと歪んで見える。


「この水の粘度なら、銃弾が当たっても皮膚までは貫けないわ。行きなさい、ラズレック」


ラズレックは「わかった」とだけ言い、大地の中へすうっと消えた。




「ラズレックは行ったわね。さて、様子を見ていた連中も出てきたか」


その直後、ジェスタへ銃撃が集中した。

定期的に、何度も撃ち込まれる。


水の魔術で威力はかなり軽減され、石をぶつけられた程度の痛みに収まっていた。


(……痛いわね。やはり急がないと。魔力が尽きたら、まずいかもね)


ジェスタの前方、城の手前には地上部隊が布陣していた。


(なるほどね。ここで地上部隊に、この水魔術を破らせるつもりか。私が「歌」で地上部隊を一気に無力化しようとして防御を解いた瞬間、銃で狙うつもりね)


ジェスタは足を止めた。


次の瞬間、水の防壁は土の防壁へと変わった。


兵たちは、突然ジェスタの姿が消えたことに呆然とする。


兵隊長が叫ぶ。


「あの土の塊を潰せ! 槍を突き入れろ! 中の者の生死は問わん!」


地上部隊の兵たちは槍を構え、土の盛り上がりへ突き刺した。

長い槍は、後方まで突き抜ける。


「死んだらどうするのよ」


ジェスタの声が響いた。


土の防壁は崩れ落ちる。


兵の一人が呟いた。


「誰もいない……」


ジェスタの声が再び響く。


「ラズレックには、舌も喉も、その形はあるけれど、機能はしていないのよ。

どうやって話していると思う?


震わせるの。硬い鉱物を震わせているの」


少し間を置いて、楽しそうに続ける。


「それからね、ラズレックから学んだの。大地の中の歩き方を」


「私は、地面の中にいるわ。さて、どこでしょう。探してみて」


ジェスタは、くすりと笑い、歌い始めた。


地上部隊は、必死にあちこちの地面を突き刺していた。


しかし、ジェスタの声が届く範囲の兵から、ばたばたと倒れ始める。


数分後、ジェスタは大地の中からゆっくりと浮かび上がってきた。

水の防御魔術も解いていない。


(まったく……真下に潜るだけで限界だわ。兵に穴を掘られていたら終わりだった。ラズレックは本当にその中を歩くんだから……)


ジェスタは息を整え、城を見上げた。


(さて、私も城の中へ行きましょう)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ