119話 戦場の殺戮者
ざわざわッ
会場はより大きなざわめきに包まれていた。
「ほ、本気か?」
私の前のあの騎士が言ってくる。
私が降伏するだろうと思っていたのか驚いている。
「そちらから100人以上で突っ込んできたくせに何故驚いている?」
「、、、」
騎士は呆れたような顔を見せてくる。
「ふっまあいい。司会!早く始めろ!もう降伏は受け入れない!全員全力でかかれ!」
騎士が司会に対して早く始める様に言う。
司会は慌てて開戦を告げようとする。
ガシャッ
その時騎士の後ろに立っていた兵士が1歩後ずさりする。
それを皮切りに実戦経験者とみられる兵士が次々に陣形の後ろに隠れる。
「は?お前ら何してる!」
騎士とその取り巻きはそれを不思議な目で見る。
「相手は小娘一人だぞ!さっさと突撃準備しろ!」
後ろに下がる兵士達に騎士が怒鳴る。
「ヴェスター、、、ヴェスターの守護者、、、」
「北部軍、、、戦場の殺戮者、、、」
「あの兜、、、高位指揮官だぞ、、、」
「こんなの聞いてない、、、」
「小娘なんかじゃないぞ」
騎士の怒鳴り声を聞いて兵士たちが口々に弱音を漏らす。
「どういうことだ!どこからどう見ても我々が圧倒してる!、、、これだから平民は、、、」
騎士は怒鳴った後呆れた声を漏らした。
「騎士様、やめましょう!あの方は、、、あの方はまずいです!」
「あ?ふざけるな!もういい!全員突撃準備!従わない者は不敬罪で死刑に処す!」
騎士は怯える兵士たちを無理やり突撃させようと準備させる。
「戦場の殺戮者か?ずいぶんと物騒な名をつけられたものだ。うちの軍は」
ドンッ!
私は槍を地面に突き仁王立ちで突撃を待つ。
「まあいい、かかってこい!戦場での知識を生かせばもしかしたら生き残れるかもな」
「試合開始!」
司会が開戦を宣言する。
「全員!突撃!」
騎士が剣を大げさに掲げて兵士たちに突撃を命令する。
取り巻きの騎士は動こうとしない。
恐らく彼らも貴族のボンボンだろう。
「うっ、、、うああああああああああ!」
一人の騎士が恐慌にかられたような叫び声を出しながら突撃したのを皮切りに兵士たちが突撃してきた。
彼らは全員使い込まれた真剣を持っている。
刃はもちろんつぶしていない。
「さあ来い!」
ガシャッ!
私は盾を全面に突き出し槍を立ての右に構えた。
姿勢は低くし敵との衝突に備えた。
「ああああああ!」
兵士は堅実な上段構えで剣を持ち突っ込んできた。
ガキンッ!
次の瞬間大きな金属音がフィールドに響くのだった。
次回投稿は金曜日です。
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