116話 サラブレッド
「雑魚だらけの試合を勝ち抜いてきたからといって調子に乗るんじゃない!」
中心の男は私の挑発的な言葉を聞いて怒鳴った。
取り巻きもそれに呼応してわめき散らかす。
ここが選手用の廊下じゃなければ今頃野次馬に囲まれてるだろうな。
「いいか?我々はとある尊きお方からお前に勝てと言われている。どんな手段を使っても、最悪殺しても良いと良いわれている」
尊きお方、、、第一皇子のことだろうな。
それにしてもこいつら沸点低すぎでしょ。
王国の指揮官でももう少しは冷静だぞ。
やっぱり帝都の奴らは実力とプライドが釣り合ってない分余計厄介だな。
「できるならどうぞ?相手はそちらの10人ですね?」
「くッ!お前つくづく馬鹿にしやがって!世間知らずの令嬢だと思って慈悲をかけてやろうと思った私が馬鹿だった!容赦はしない!薄汚い北部の女でありながらこの栄光ある大会に来たことを後悔させてやる!」
取り巻き含め顔は真っ赤だ。
正直見ていて面白いな。
「何ならここで戦いますか?私鎧いらないので」
「ふっ!北部の田舎者と違って我々は騎士道に乗っ取っている!後悔する時間くらいはくれてやる」
そう言って騎士と取り巻き達はそそくさと去っていった。
騎士道精神ね、、、殺すとか言ってたやつらが言ってるのは笑えるね。
「行こう。使う武器の手入れをしたい」
「了解しました。確か待機室はこっちだったと思います」
そう副指揮官に言われて待機室に向かった。
自分の直属の部下を褒めるのはなんだが副指揮官はやっぱり優秀だ。
彼は平民生まれでありながら北部軍近衛隊副指揮官に実力でのし上がってきた。
「そういえばお前は家族とかいたっけ?」
「ヴェスターの近くの村に妻と娘がいます。ですが家族に何か?」
「いや、お前がこんなに優秀なんだから奥さんと娘さんはどんななんだろうってね」
そうすると副指揮官は少し照れた。
やっぱり完璧な人間も家族には甘いようだ。
「妻は元々軍の第一軍団で第一補給隊を率いていた文官出身の軍人です。私と結婚して娘ができた時に名誉除隊しました。」
「補給部隊を率いるくらいなら相当頭いいんだろうな」
話を聞くたびこいつが幸せだと伝わってきた。
他の指揮官たちがうらやんでいたのがわかる。
「家族に最後にあったのは北部貴族第一陣出発直前です」
こいつは北部貴族第一陣と一緒に帝都入りした。
私が殿下と一緒に出発してから私と合流するまで近衛隊の指揮官を代理として勤めてくれていた。
「その時は娘は軍に入りたいと言っていました。今年で17になります。個人的には村で穏やかに過ごしてほしいとは思いますが娘の考えを止めようとは思いません。妻と私の間にできた自慢の娘ですからそうそう危険にさらされることはないでしょうし」
「そうだな。お前の戦闘力に奥さんの頭脳を引き継いでるならもう敵なしだろうな」
「あ、着きました。ここです」
そうこう言っているうちに待機室に着いた。
さて、さっきのあいつらをどうひねりつぶしてやろうか。
次回投稿は金曜日です。
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