101話 敵への告白
「さてと、そろそろ始まりますね。殿下」
開会式は終わり、リールは選手控室に行った。
もうすぐ本選第一試合が行われる。
本選は予選と違って一戦一戦区切られて行われる。
予選で結構な数が振り落とされたため選手の数自体少ないしこのために開始時間が予選より早い。
一部招待枠で出場する選手が合流してくるが時間的には問題ないだろう。
「、、、そうだな」
第一皇子は相変わらず悔しそうな顔だった。
そりゃそうだ。
騙してあわゆくば自陣営に引き込む予定だったのに公然と侮辱された上自分から仕掛けたからそれを注意できないのだ。
「、、、後悔するぞ」
「それはどうでしょう。私は合理的な判断をしているつもりです」
第一皇子はダメもとで脅してくる。
もちろんそれにはなびかない。
あれからリールが控室に行ったことによってバルコニーには僕と第一皇子の二人きりになった。
エレナさんと第一皇子の護衛、使用人たちは席の室内側で待機している。
緊急事態になるかベルを鳴らさない限り入ってこない。
少し寂しい気はするがこれで腹を割って話ができる。
「お前は間違いを犯している。帝都の力がいかに大きく変えづらいかを理解していない」
「帝都の各勢力の権力とそれが持つ財力・軍事力はすでに把握済みです。確かに大きな障害ですが乗り越えられない壁はありません」
「、、、!」
第一皇子は人がいなくなって僕が急に饒舌になったことに驚いていた。
まあ、今までは力も学もないただバックが強いだけの小娘だと思われていたから当然だろう。
「この際少しだけ私のことを明かすと、私は学も力もあります。北部も北部軍も二大公爵家と同じくらい僕に忠誠を誓っています」
「、、、今更驚かないな。だが学があるならなおさら私の下に付こうとは思わなかったのか?お前の指示が厚い北部を黙らせておくという意味でも私はお前を悪いようには扱わない。それにお前が私に付けば勝ちは急激に近づく。私に付くだけでお前は今より力を手に入れられる」
第一皇子の言っていることは大方正解だ。
だがいくつか修正するならば。
「まず、第一に私は力も地位も権力もこれ以上要りません。王国にさっさと勝って北部で皆と平和に暮らせればそれでいい」
「それは驚きだ。てっきり復讐と権力が目的だと思った」
「復讐ですか、、、まあ悪くはないですね。機会があればするでしょう。でもそれが主目的じゃない」
「第一にと言ったな。次はなんだ?」
「第二に、殿下、あなたは自分に付けば今以上の地位が手に入ると言った。」
「ああ、」
「殿下、あなたは北部を舐めすぎですよ。傀儡になり皇宮でナンバー2になるより今北部で持っている地位の方が何万倍も価値がある」
「なッ!それはどういう!」
「それでは第一皇子殿下より開戦の合図を!」
ちょうどいいところで司会から第一皇子にお呼びがかかった。
「まあ今日は武芸を見に来たんです。とりあえずお互いの右腕が決着をつけるまでお互いの論争はお預けにしましょう」
「、、、しょうがない」
そうして第一皇子はもどかしそうな顔をしながらもそれからは決勝まで政治について言及するのをやめた。
次回投稿は金曜日になります。
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