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#3 非日常へようこそ

目白さんと南雲さんの優しさで黒板が見えるようになったが、何気ない一言が胸に刺さった状態で今日1日過ごしていき、昼休み後のクラスHRが始まり、桜井先生が教卓に着いた。


「はい、皆さん席に着いてください。」


クラスメイト全員が席に着いて桜井先生の方に向いた。


「皆さん、このHRでは゛ある事〝に着いて決めていこうと思います。ということで今日はクラスから男女1組を作ってもらいます。」



〈2年前〉

日本の子供の出生率は1.00を切るという危機に陥っており、このような事態を解消するために政府は゛ある政策〝を全国の高校生達に通達した。それが高校2年生になった際にクラスから男女1組を作りその男女1組は卒業まで共同生活をしてもらうという政策である。狙いとしてはその男女1組みがそのままお付き合いをして結婚、出産をしてもらい出生率を上げようという政策である。ちなみに共同生活を行う上で発生するお金に関しては領収書等を学校に申告すれば政府がその分のお金を出してくれる仕組みになっている。



「俺、部活が忙しいので無理です。」



「俺も忙しいから、というか嫌です。」



政府の誤算としては思春期の男女が共同生活を行うというのはいささか無理があり、喧嘩をしてしまう事が大半でその後は別れてしまい、共同生活をせずそのまま生活していくというケースが殆どであり、クラスメイトでもあるため気まずくもなるのでみんな乗り気ではない。



「先生ぇ坂入君が良いと思います。」



急に自分の名前が呼ばれ声の方に顔を向けると

クラスの中心的な人物の゛小笠原純〝が先生に向かって発言していた。


「坂入君なら部活もしてないですし、両親もいないので誰にも迷惑掛けないと思うのでいいと思いまぁ~す。」


僕は顔を下げたと同時に翠音さんが僕の方に顔を向けたが僕は張り付けたような笑顔しかできなかった。



「先生、僕で良ければやりますよ。」



僕の母親は僕を生んだ直後に容態が急変しそのまま亡くなってしまい、父親は僕がお腹の中にいる時に交通事故でいなくなってしまった。

高校生になるまではお婆ちゃんに育てられたがそのお婆ちゃんも去年亡くなってしまい今はお婆ちゃんが残してくれた家で一人で暮らしいた。


「ちょっと!そんな事みんながいる前で言わなくていいじゃん!」


「ノンデリ、良くないよ」



「なんだよ、二人とも庇って、じゃあ二人のどっちかが付き合ってあげれば?」



「いや、それはちょっと。部活が忙しいし」



「うちも、色々忙しいから、無理ごめん」


目白さんと南雲さんが純に言い返してくれたが見事なカウンターを受けた。僕の心はKOされた。告白してないのに振られた時ってこんな気持ちなのかなぁ、悲しい。


「ほらぁ、二人無理なんじゃん。そうだよなあんな」


「先生!私で良ければやりたいです。」



純が何かを言いきる前に隣から声が聞こえた。

翠音さんが手を上げて先生に向かって発言していた。



「翠音さん!坂入君とペア組んであげてくれるんですか。ありがとう!先生、助かったよ。」



先生、その言い方は僕を無自覚に傷つけてるからやめて!



「じゃあ。うちのクラスからは坂入さんと山田さんに決まりましたぁ!パチパチパチ」



なんだろうこのなんとも言えない感情は


〈放課後〉


「はい、二人とも今日は本当にありがとうね」



僕と翠音さんは桜井先生に言われ職員室に呼ばれた。これから共同生活をしていく上での注意点や領収書の出し方等を指導された。



「はい、これで必要事項は伝え終わりました。最後に二人とも手を出してください。」



先生に言われるがままに手を出すと二人の手に家の鍵を手渡された。



「この学校の裏にあるマンションの鍵です。部屋番号は108号室です。」



「学校裏のマンションって新しくできた所ですよね?そんないいところでいいんですか。」



「はい!元々あのマンションはこの政策の為に作られてたマンションなので。」



政府めっちゃ金掛けてんな。



「では!二人とも共同生活頑張ってください!」



先生は手を叩き、僕ら二人を励ましてくれた。

職員室を出ていき、二人で下駄箱へ向かう。



「翠音さん、一緒に帰りますか?」



翠音さんは一瞬ビクッと反応した。

僕は考えを巡らせた。共同生活するとはいえいきなり一緒に帰るのはヤバかったかこの間0.1秒



「す、すいません!いきなりは嫌でしたよね、すいません、すいません。僕一人で帰るので。」



頭を深く下げ下駄箱に走り出した。



「あ!」



翠音さんはハッとし右手を伸ばしたがすでに坂入は消えていた。伸ばし右手を胸の前で握りしめ、再び下駄箱へ歩きだした。



「クソ!」


純は不機嫌そうにゴミ箱を蹴りあげた



「山田翠音!俺の邪魔しやがって、あいつがなんでいい思いすんだ!」



「なんすか、小笠原先輩、その翠音っていう子気になってたんですか?」



「まあ、顔は良くはない。眼鏡かけてるしだが、あのでかパイはスゲーよ。



そんな卑猥な会話が野球部室から聞こえていた。




がちゃり、翠音さんが帰ってきた。



「翠音さん、おかえりなさい。」



「しょ、翔さん!」



翠音さんはまたビクッとして驚かしてしまった。



「翔さん、先に帰ってきたんですか?。」



「はい、それよりも見てください。この部屋」



部屋に目を向けるとキッチンには冷蔵庫、電子レンジ、食洗機、炊飯器等自炊に必要なものは一通り揃っておりお風呂、バルコニー等一人暮らしするには困らない設備が揃っていた。

そう、一人暮らしするにはだ。



「翔さん、」



「なんですか?」



翠音さんに呼ばれるが顔は向けない、向けられない。なぜなら、



「これ、寝室一部屋しかないんですか?」



翠音さんは顔を下を向け、顔が少し赤面させながら聞いてきた。


そう、これは出生率を上げようという政策。

つまり、そういう事なのだ。

僕の貞操観念よ、卒業までもってくれ!











人物紹介

〈小笠原純〉

身長 178cm

好きなもの 野球 ??

坂入らのクラスの中心的な人物である。

威圧的な態度が目立ち、あまり女子達からは好まれていない。

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