378.腕木式信号機(1)
「『う』は『腕木式信号機』。これだとどう?」
「腕木が『水平』だと『停止』で、『斜め下』だと『進行』の現示になる信号機だね。」
「津軽鉄道で見ました。」
「水平で通せんぼで、そうじゃないと通って良いってのは、自動車を誘導する時の手信号と似てる気がする。」
「警察官の人が出す『手信号』は体の向きで決まるもので、正面か後ろを向いてたら停止、横を向いてたら進行だったんじゃなかったかな。」
「そうなの?」
「えっと…、そうみたいですよ。」
「ナオが言ってたのは、工事で片側交互通行にしてる時の誘導じゃない?」
「そっか、その誘導と手信号は違うのか。」
「腕木式信号機は駅の『梃子』を操作して、そこからワイヤーロープでつながって信号を変えるんだ。機械式信号機っていう種類になる。」
「たしかに。電気的なものが何もないんだね。昔ながらの装置って感じがある。」
「それで、万一ワイヤーロープが切れた場合は、錘が働くことで腕木が水平になって停止を現示するようになってる。」
「フェイルセーフも装置として組み込まれてるんですね。」
「日本の鉄道はイギリスの技術を取り入れて建設されたから、開業時の信号方式もイギリスで普及していた腕木式信号機が導入された。」
「イギリスは鉄道発祥の地だもんね。」
「その後のものとはタイプが異なる方式なんだけど、博物館明治村にはその当時の信号機のレプリカが展示されてるらしいよ。」
「鉄道創業期の信号機はいろんなタイプがあったそうだけど、そのひとつに『ボール信号機』っていうのがあったんだって。」
「ボールって、あの丸いボールですか?」
「そう。そのボールは赤く塗られてて、下がってると停止、高く掲げると進行の意味で、それがウイスキーの炭酸割り『ハイボール』の名前の由来になってるって説があるんだって。」
「日本で『出発進行』が『行くぞ~!』みたいに使われるのと似た感じかな?」




