369.ロングシート(1)
「行楽の秋だね。」
「どこか行きたくなりますね。」
「あてもなく、ぼんより列車に揺られる旅がしたいよ。」
「春に行った紀勢線みたいな?」
「うん。あ、でもロングシートじゃない方が良いな。」
「身近なところだと中央線とかどう?」
「毎日乗ってるしロングシートだよ?」
「じゃなくて、高尾から先。大月、甲府、小淵沢。天気が良い日なら眺めも良いでしょ。」
「本八幡からだと利用しにくいけれど、朝早くには高尾発の松本行きなんてのもありますよ。」
「いや、そこまで乗り通そうとは思ってないよ。それに、ロングシートの新車も運転を開始したらしいし、どの列車がハズレか分からないからリスキーだよ。」
「ロングシートじゃないってなると、上野東京ラインとか常磐線とかは?」
「う~ん。ちょっと雰囲気違う気がするなぁ。」
「京急の快特とかはどう?三浦半島の方まで行けば、ナオの好きな船も見れるよ。」
「そうだね。でも新歓の帰りに乗ってるからなぁ。」
「もしロングシートでも構わないってんなら、山手線を何周もするとかね。」
「それはちょっと心が寒くなる。それに、山手線って座れる気がしない。」
「そういう時の運賃ってどうなるんですか?」
「どうするんだっけかな?わかんないけど、都区内パスとか買っておけば問題ないはずだよ。」
「それなら気になった所で下車するのも簡単ですね。」
「ふたりとも他人ごとだと思って。」
「まあ、そうだね。」
「山手線で何周もって、ハムスターのクルクル回るのに入ってるナオさんを想像しちゃいました。」
「ひどい。」




