364.トンネル(2)
「東京の山の手と下町っていうけれど、これって名前のとおり土地の高低差のことでもあったんでしょうか。」
「そうじゃない?で、四ツ谷のトンネルで伯父さんから聞いたネタを思い出した。」
「出たよ。伯父さん。」
「あるとき、某横浜の人と某大船の人が口喧嘩になって、某横浜の人が某大船は田舎だって言い出したんだって。なお、実在の地名とは関係ありません。」
「たしかに某横浜は大都市だと思うけれど、某大船を田舎と言い切るのはどうかと思うよ。似たような名前の街の話だけどね。」
「あの、『某』を付ければ良いってものでもないと思うんですが…。」
「面倒なので某は外します。で、その時に根拠にしたのが鉄道のトンネルなんだって。」
「っていうと?」
「東海道線は保土ヶ谷を出たところにトンネルがあるんだけど、トンネルの手前までが都会の駅で、トンネルを出るとそこから先は田舎の駅だって主張したんだって。」
「それだと中央線は四ツ谷を出るとトンネルがあるから、新宿あたりはもう田舎になっちゃうじゃない。」
「そう。江戸時代の『内藤新宿』なんて呼ばれてたころならともかく、現在の新宿を田舎にするような説は成立し得ないよね。」
「もしもその説が妥当だってことになったら、東京の地下鉄も大半が田舎の駅になっちゃいますね。」
「トンネルを出てないからセーフってのは?」
「それはどうなんでしょう。」
「おまけになんだけど、東北線は黒磯を過ぎてもトンネルが無いんだよ。」
「うわ、なら、大船は黒磯よりも田舎ってことになっちゃう。」
「もともと何の根拠も妥当性も無い説だからね。」
「そのあとで、都会の駅と田舎の駅を見分ける方法は無いんだろうかって話になって、都会は駅前のタクシーがカラフルで、田舎の駅前はハイヤーも兼ねる黒いタクシーが多いって説が出たんだって。」
「都心もタクシー黒いよ。」
「当時のタクシーは緑とか黄色とかの車が多かったらしいよ。」
「関係ないけれど『田舎』って漢字は『田舎』とも読めちゃいますよね。」




