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鉄道は鉄の道  作者: 宇美八潮
第二部「2年生編」
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357/371

357.架線(5)

「同じ『電車線』っていっても、電車が走る線路のことの場合と、架線のことの場合とがあるんだね。」

「ついでに言うと、『電車線』と似てる言葉で『電車線路(・)』ってのもあるよ。」

「また混乱を招こうとしてる。」


「電車線には電気を供給しなくちゃいけないじゃないでしょ。」

「うん。」

「その電車線や第三軌条式の場合の導電レールまで、変電所から電気を供給する線を『き電線』っていうんだ。」

「『き』って木(ウッド)でも黄色(イエロー)でもないよね。」

「通常『き』の字はひらがなで書くんだけど、漢字だと『しょくへん』に貴族の『貴』っていう字を使って『饋電線(きでんせん)』。」

「また不思議な字が出てきた。」

「『饋(き)』の字は『饋(おく)る』とも読むそうなんだけど、食べ物や物品を贈(おく)るって意味があるらしい。」

「じゃあ、電車に電気を送(おく)る線ってことなんだ。」


「それから、レールには帰線電流を流してるって話をしたけど、これを含めて電車で使い終わった電気を変電所まで戻す線を『帰線(きせん)』っていう。」

「これは『帰る』の『帰(き)』で良いよね?」


「こうした線とそれを支持する設備を合わせて、それぞれ『き電線路(・)』『電車線路(・)』『帰線路(・)』っていうんだって。」

「架線柱とか、あとビームっていったっけ、それから他にもいろいろ付いてる部品を含めた言い方なんだね。」

「さらになんだけど、これらの設備全体もまとめて『電車線路』っていう。」

「なんか、入れ子構造ですね。」

「わざと?わざと混乱さそうと思ってる?」

「そっか、混乱したいんなら、そう言ってくれればよいのに。」

「そんなこと望んでないから。」

「これも伯父さん情報なんだけど、以前見せてもらった資料の用語解説に『線路とは線路および電車線路をいう』っていう文言があったんだって。」

「え?わけわからなすぎ。」

「そうだよね。印象的すぎて僕も忘れられない。この『線路』はもっと広義になると、信号、通信、停車場、建物なんかの、運転に必要な施設を全部含んだ言葉としても使われるよ。」

「そういえば、以前にそんな話をしてたっけね。」

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