357.架線(5)
「同じ『電車線』っていっても、電車が走る線路のことの場合と、架線のことの場合とがあるんだね。」
「ついでに言うと、『電車線』と似てる言葉で『電車線路』ってのもあるよ。」
「また混乱を招こうとしてる。」
「電車線には電気を供給しなくちゃいけないじゃないでしょ。」
「うん。」
「その電車線や第三軌条式の場合の導電レールまで、変電所から電気を供給する線を『き電線』っていうんだ。」
「『き』って木でも黄色でもないよね。」
「通常『き』の字はひらがなで書くんだけど、漢字だと『しょくへん』に貴族の『貴』っていう字を使って『饋電線』。」
「また不思議な字が出てきた。」
「『饋』の字は『饋る』とも読むそうなんだけど、食べ物や物品を贈るって意味があるらしい。」
「じゃあ、電車に電気を送る線ってことなんだ。」
「それから、レールには帰線電流を流してるって話をしたけど、これを含めて電車で使い終わった電気を変電所まで戻す線を『帰線』っていう。」
「これは『帰る』の『帰』で良いよね?」
「こうした線とそれを支持する設備を合わせて、それぞれ『き電線路』『電車線路』『帰線路』っていうんだって。」
「架線柱とか、あとビームっていったっけ、それから他にもいろいろ付いてる部品を含めた言い方なんだね。」
「さらになんだけど、これらの設備全体もまとめて『電車線路』っていう。」
「なんか、入れ子構造ですね。」
「わざと?わざと混乱さそうと思ってる?」
「そっか、混乱したいんなら、そう言ってくれればよいのに。」
「そんなこと望んでないから。」
「これも伯父さん情報なんだけど、以前見せてもらった資料の用語解説に『線路とは線路および電車線路をいう』っていう文言があったんだって。」
「え?わけわからなすぎ。」
「そうだよね。印象的すぎて僕も忘れられない。この『線路』はもっと広義になると、信号、通信、停車場、建物なんかの、運転に必要な施設を全部含んだ言葉としても使われるよ。」
「そういえば、以前にそんな話をしてたっけね。」




