356.架線(4)
「考えてみたら『架線』ってのも不思議な言葉だね。架けるって言ってるけど何に架けてるんだろう。」
「架線って言葉は『架空電車線』の略なんだ。」
「空に架けてるんですか?」
「そういえば、以前に聞いたことがあった。」
「架線のほかには『電車線』って言い方もするよ。」
「えっと、電車線とか列車線とか線路を区別する時に使う言葉とは違うんだったよね。」
「そう。電力関係では架線のことを指す場合が多い。」
「まぎらわしいよね。」
「文脈で判断するしか無いんじゃないでしょうか?」
「架空ってことは、他の電車線もあったりする?」
「えっと『第三軌条式』ってのがある。ただ、その場合は電気を導くと書いて『導電レール』って呼ばれる。」
「あ、そっか。それだと空中じゃないね。」
「地下鉄銀座線とかの方式ですね。」
「あとは、架空電車線にも区分があって、よく見るタイプは『架空単線式』。先日話したトロリーバスなんかで使ってるタイプは『架空複線式』っていう。」
「普通の電車でも架線が2本並んでることがあるけど、それは複線式じゃないんだよね?」
「うん。あれは集電性能を高めるとかの目的でトロリ線を2本にしたもので、どちらも給電側の電線だから複線式とは別。他に『剛体複線式』っていうモノレールとかで使われる方式がある。」
「東京モノレールとか多摩都市モノレールで、コンクリートのレールの左右に付いてたやつだね。」
「昔は普通の電車でも複線式を使ってた時期があったんだって。」
「そうなの?」
「電車運転を始めた頃なんだけど、レールを使った帰線電流への対策が不十分だったから、ガス管なんかで電食が発生して問題になって架空複線式に変更したらしい。」
「じゃあ、その頃はそれぞれの架線用にパンタグラフがふたつ付いてたの?」
「まだトロリーポールのころの話。ポールを2本付けた電車を使ってた。」




