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鉄道は鉄の道  作者: 宇美八潮
第二部「2年生編」
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354/371

354.架線(2)

「その振止(ふれどめ)ってのが左右から付いてはいたけれど、架線がジグザグだったかは気付かなかった。それにどうしてジグザグ?」

「ひとくちに架線って言うけれど、そのうちパンタグラフと直接接触して電気を供給する線を『トロリ線』って言うんだ。」

「あーそれ、どっかで聞いたことある。」

「そのトロリ線が、ずっとまっすぐだと、パンタグラフの同じ個所ばかりと接触し続けて、そこだけ摩耗しちゃうでしょ。」

「そっか、だからわざと左右に振ってるんですね。」

「ただし、トロリ線のレール中心からのズレを『トロリ線偏位(へんい)』っていうんだけど、これが一定以内に収まるようには管理してる。」

「そうじゃないとパンタグラフから外れちゃうんだね。」


「ところで、前に話した『軌道変位(へんい)』は、位(・)置が変(・)わるっていう意味で変更の『変』の字を使ってるけど、トロリ線偏位は違う字を使ってる。」

「変じゃないへん(・・)?」

「トロリ線の場合はにんべん(・・・・)の偏(かたよ)るって字なんだ。」

「偏光(へんこう)グラスの偏(へん)ですか?」

「そう。さらに昔の資料だと『位(い)』の方をひらがな(・・・・)で書いたものがある。」

「ということは、実は難しい字を使ってたってことでしょうか。」

「うん。こっちもにんべん(・・・・)なんだけど、それと奇妙の奇を合わせた『倚(い)』っていう字を使っての『偏倚(へんい)』だったみたい。」

「そんな字あるんだ。」

「偏も倚も、どちらもかたよる(・・・・)って意味があるらしいよ。」

「トモの知識も偏ってると思う。」

「偏倚って言いたいの?」

「う~ん、むしろ変態的かも。」

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