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鉄道は鉄の道  作者: 宇美八潮
第二部「2年生編」
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353/371

353.架線(1)

「今朝は先頭車両に乗って来たよ。」

「へえ。珍しいんじゃない?」

「うん。ちょうど来た電車が混んでたんで見送って、そのまま前の方に歩いてたら先頭まで来ちゃってた。」

「そんな気分だったのかな?」


「なんとなくね。で、運転席の後ろから、ぼーっと架線を見てて気づいたんだ。」

「何に?」

「あの、何ていうんだろう、架線を引っ張ってるのかな?そういう部品があるでしょ。」

「あー、うん。」

「それが左右から交互に付いてるんだよ。ああしておくと、左右にブレずにまっすぐ架線を張れるってことなのかな。」


「それって、直線の区間の話だよね。」

「うん。曲線の区間はカーブの外側から引っ張る形になってた。」

「えっと、直線区間のは『振止(ふれどめ)装置』で、曲線区間のは『曲線引(きょくせんびき)装置』っていうんだ。」

「似てるけど名前が違うんだ。」

「うん。役割も違うしね。それぞれ略して『振止(ふれどめ)』と『曲引(きょくびき)』ともいう。」

「名前のとおり、架線が振れるのを抑えたり、曲線区間で架線の位置を整えたりするってことでしょうか。」


「ユウの言うとおりなんだけど、ナオの見た左右から交互に引っ張ってるのは別の目的もあるんだ。」

「なんだろう。」

「ナオはブレずにまっすぐにって言ったけど、むしろ左右から交互に引くことでジグザグにすることが目的になってる。」

「ジグザグ?わざとなの?」

「そう。わざわざそうなるようにしてる。」

「それにしても、ナオは架線にも興味が行ってしまったかぁ。」

「っていうか、線路とか信号の話はもうお腹いっぱいだったから、反動で上の方を見てた。」

「あ、なんとなく気持ちがわかります。」

「でしょ。」

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