349.無限軌道(1)
「『無限軌道』って言葉があるんだね。」
「それって、装置名であると同時にアメリカの某企業名で、登録商標にもなってるアレのことだね。」
「う、うん。やっぱり知ってるんだ。」
「どういうものなんですか?」
「英語のイモムシが名前の由来になったっていう走行装置のこと。」
「ちょっとゾワっとしましたけど、そっか、アレのことでしたか。」
「俺この言葉を最初に見掛けた時は『軌道』っていうから鉄道関係の言葉だと思っちゃった。」
「『無限の軌道』っていうと、ちょっとしたロマンですね。」
「うん。そういのを想像した。でも鉄道とは関係なかったんだね。」
「いや、必ずしもそうでもないんだよ。」
「そうなの?」
「無限軌道って、地盤が弱かったり凹凸の多い場所での工事とかに使う建設機械なんかに装備されてるよね。」
「うん。ブルドーザーとか、ショベルカーとかで使われてる。」
「そうした河川改修とか土壌改良なんかの工事現場での運搬作業は一時期『軌道』が担ってたこともあるんだって。」
「へえ。」
「レールとまくらぎで重量を分散することで、軟弱地盤でも作業ができるってことから、昔ながらの人力が主流だった作業の機械化に貢献したらしい。」
「じゃあ、その軌道を置き換えたのが無限軌道を備えた建設機械なんだ。」
「そういう因縁があったんですか。」
「工事現場での軌道の活躍は現在ではごくわずかになってる。」
「ごくわずかってことは、皆無ではないんですか。」
「有名な立山砂防軌道とかはそういったものの生き残りだし、あとはトンネル工事なんかでも工事用の軌道が使われることがあるよ。」
「軟弱地盤でも大丈夫って、『水蜘蛛』でしたっけ、忍者が水の上を歩くのに使ったてっいうロマンアイテムを連想しました。」
「現実的なものでいえば、『かんじき』の方が近いんじゃない?」




