346.レール(7)
「レールって電気が流れてるんですね。」
「うん。ナオの言った信号電流のほかにも、たとえば電化区間では変電所から電車に供給された電気が変電所に戻る『帰線電流』っていうのが流れてる。」
「たしかに言われてみると、架線って電気を流すだけで戻る側が無かったです。」
「日本では無くなっちゃったけど、トロリーバスの場合は『無軌条電車』とも呼ばれるとおりレールが無いから、架線を2本並べて張って片方を帰線電流用にしてるんだ。」
「乗ったことありましたけど、気にもしてませんでした。」
「この電気の流れを確実にするために、定尺レールの場合は継目部分のレールの外側に『ボンド』っていう銅線の撚線を溶接してる。」
「帰りにレールを見てみよう。」
「ロングレール区間には無いよ。不要だからね。」
「あ、そっか。」
「ボンドはレール遊間の伸縮に対応できるように、尺取虫みたいな格好をしてるよ。」
「信号故障ですってことで電車が止まって、実はレールにヒビが入ってたっていうことがあるのは、信号電流っていうのを流してるからだったんですね。」
「レールに不具合があって信号電流がうまく流れないと停止信号になるようにしてる。これもフェイルセーフのひとつ。」
「ってことはレールを交換すれば復旧するんですね。」
「最終的にはそうなんだけど、不具合のあった箇所を暫定的に継目板で補強して、現場付近徐行で再開するってことが多いみたい。」
「そうなんですか。」
「その方が早く再開できるから。レールの交換作業は深夜の緊急工事で行って翌日から平常運転に戻る。」
「ところでレールに電流が流れてて感電したりしはないのかな。」
「それは大丈夫らしいよ。帰線電流はマイナス側だから電圧がほぼ0なんだって。」
「じゃないと踏切なんかで感電しまくりますね。」
「そのあたりはネットで見るか詳しい人に聞いてね。」
「直流区間の場合、レールを流れる帰線電流の影響で、金属が腐食する『電食』っていう現象が起きる可能性があるんだって。」
「へえ。」
「なのでレールのすぐ下にガス管を埋めるとガス漏れの危険があって、駅事務室で駅員さんが使うガスコンロは、プロパンガスを使ってたって聞いたことがあるよ。」




