341.レール(6)
「『ジョイント音』っていうんだっけ、夏合宿ではあれを良く聞いたな。」
「いつも乗ってる路線はロングレールになってるから、ああいう音って聞く機会が無いね。」
「新宿なんかでポイントを通過するときにはガタガタって感じの音がするけれど、あれとは別物だよね。」
「そういう一時的な音じゃなくて、走ってる間じゅう規則正しく聞こえてくるからね。」
「ああいう音を聞くと電車が走ってるなって感じがする。」
「でも、なぜだか眠気を誘われるんですよね。」
「あれって、レールの継目に隙間があるから音が出るんだよね。」
「隙間が無いいようにすれば音は出なくなるんじゃないですか?」
「レールは温度変化で伸縮するから、隙間が無いと伸びようとしたときの力が、座屈とか以前話した張り出しなんかの原因になるんだよ。」
「だからわざと隙間をつくってるんだよね。でもあけ過ぎてもいけないんでしょ。」
「もちろん。大きな衝撃が起きるようになって、これも軌道損傷の原因になる。」
「乗り心地も悪くなるしね。」
「物を組み立てるときとか、わざと作る隙間を『遊び』っていうじゃない。レールの継目にある隙間を、遊びの隙間って書いて『遊間』っていうんだ。」
「へえ。」
「この遊間の管理はとても大事で、夏の暑い時期の前には十分な隙間があるか、冬に寒くなる前には隙間が広がりすぎる恐れが無いか、そういう点検をしてる。」
「最近は酷暑日なんていうのもあるから、今まで以上に大変なんでしょうか。」
「そうだろうね。で、遊間が適正でなかった時には『遊間整正』っていう作業で直す。」
「遊間ってどんなふうに直すの?」
「油圧やネジの力でレールを移動させる『遊間整正器』っていうのを使うらしいよ。」
「じわじわと動かす感じでしょうか。」
「他に昔ながらの衝撃式っていうのもあって、これはレールに固定した当金にハンマーなんかを打付けて動かすらしい。」
「昔の家電製品の直し方ってのを連想しちゃいました。」




