340.災害(4)
「盛土って、文字どおりに土を盛っただけなの?」
「盛った土を締固めて崩れにくくしてる。あと、水はけを良くするように水抜きパイプを埋めたりもする。それから土の種類も考慮してる。」
「そういう感じのものでも上を列車が走れる強度って出せるものなんだね。」
「あの有名な万里の長城だって、初期の構造物は『版築』っていう土を突き固める方法で築いてて、それがいまだに残ってるんだよ。」
「へえ。」
「もっとも『版築』の場合は土の性質が違うし、突き固めかたが半端ないから、同列に扱うのは間違いなんだろうけどね。」
「そういえば、東海道新幹線では盛土強化の工事をしてるっていうニュースを最近見ました。」
「のり面をコンクリートで覆うことで雨水の浸透を防いで、大雨の時の運転規制を緩和しようって話題だったね。」
「同じ量の雨が降っても浸み込む水の量が減らせるってことですね。」
「最近は数十年に一度っていわれる規模の豪雨が毎年降るような状態だもんね。」
「盛土に浸み込む水量を抑えられれば、同じだけの雨が降っても土壌中の水分量を少なく見積もれるでしょ。」
「それって前に言ってたJR東海が雨量規制に新しい基準を使うってのの関係?」
「うん。モデル化した『土壌雨量』で規制を行うっていう考え方。」
「東海道新幹線は盛土が多いんですね。」
「そう。開業した当時は、盛土や地盤が安定するまで徐行区間が多くて、東京から新大阪まで『ひかり』で4時間かかってたんだって。」
「それでも、当時はびっくりするほど早かったんでしょ。」
「そうなんだけどね。開業から1年ほど経って土壌が落ち着いてから、3時間10分での運転を開始してる。」
「今は『のぞみ』で2時間20分台だったよね。」
「車両も最高速度も違うけれどね。」
「鉄道の細長い盛土構造が続くのを、堤を築くって書いて『築堤』とも言うよ。」
「何年前だっけ、高輪築堤ってのが発見されてニュースになったね。」
「築堤って、言葉としては築造する作業のことだけど、完成した構造物の意味でも使うんだって。」




