333.旅行記(6-8)
「いまさらなんですけど、『シキ』さんの本名は一色さんであってましたっけ。」
「うん。」
「それで『カフシ』さんは加藤さんでしたよね?」
「そう。カフシさんの同期の工藤さんが『エフシ』さんって呼ばれるようになったのがきっかけで、同じ『藤』の字を使ってるからって命名されちゃったんだって。」
「エフシさんといえば、ボクサーズは帰りも五能線経由で、今度は『リゾートしらかみ』のボックス席に乗って行くらしいね。」
「来る時も東能代から普通列車で乗り通してたって言ってた。再開するかひやひやだったらしけど。奥羽線はロングシートが多いから避けたんだって。」
「あの、時折『ボクサー・エフシ』とかってあって気にはなってんですけど、あれってボックス席が好きだからだったんですか?」
「うん。4人掛けボックス席の愛好者。ボクサーを冠する人は常に4人居るんだよ。」
「ほら、今も言ったけど一昨日の木造駅から乗った列車でも4人でボックス席を占拠してたでしょ。」
「新歓合宿の帰りにボックス席を占拠して、房総半島をぐるり乗り通したのも同じメンバーでした。あれがボクサーズだったんですか。」
「ひょっとして、ボクシング好きとでも思ってた?」
「それも考えたんですけどちょっと違うかなって。」
「うん。鉄道同好会とは合わないよね。」
「それで、その、男所帯ですから口に出すのが恥ずかしい由来の可能性も考えちゃいまして…。」
「ひょっとして、アンダーウエアに拘りがある人たちとか?」
「…はい。」
「それだったら、たしかに恥ずかしいね。」
「ボクサーズは4年生になると引退するんだって。代わりに1年生を勧誘したり予備の候補から選定したりして、新館合宿が新メンバーでの最初のイベントになるらしい。」
「予備の候補なんて居るんですか。」
「定員4人限定の選ばれしメンバーなんだって。」
「電車を待つときは必ず4人そろって並ぶとか、間に合わない人の代わりに荷物で席取りをするようなことはしないとか、いろいろと掟があるらしいよ。」




