332.旅行記(6-7)
「さっきのユウの話じゃないけれどさ。」
「なんでしょうか。」
「洞爺、弘前と五所川原、そしてこのあとの東京。なんか俺って大雨が降ったところばかり行ってる気がする。」
「逆に言えば、うまいこと避けることができてたとも考えられるんじゃない?」
「そうなんだけどさ、被災した付近に観光で行くのって申し訳ない気分にならない?」
「ああ、それはボクも感じてました。」
「たしかにナオの言うこともわかるよ。でも、そこでお金使うのも人助けって考え方もあると思う。」
「そうそう。宿とかキャンセルしたら、かえって困らせちゃうだろうから。」
「ところで今回このメンバーで電車に閉じ込められたのはユウだけ?」
「俺はそういうのは無かった。」
「僕も大雨で福島への電車が15分ほど遅れたくらい。」
「僕たちは羽越線で倒木があったけど、乗る列車が走るまでには運転再開してた。」
「シキは羽越線で来たんだ。」
「うん。実はユウには悪いけど『海里』の食事つきの旅行商品。なので運転してくれて良かった。」
「羨ましいです。でも大丈夫です。恨めしいとは思ってません。仕方ないことです。わかってます。」
「……。」
「食事つきで乗ったんなら、お値段の方もかなり良かったでしょ?」
「うん。でも9月は比較的お値打ちだったんだって。実はカフシさんが僕の二十歳のお祝いってことでとってくれたんだ。」
「みなさまっ!実は僕の誕生日までちょうど1か月となっております。お祝い待ってますっ!」
「それより前にボクの誕生日までは残すところ3週間となりました。お祝い待ってます。」
「ねえナオ、トモってユウの教育に良くないんじゃないの?」
「ユウの乗った『こまち』ってどのくらい遅れたの?」
「那須塩原で1時間以上止まって、角館には1時間半くらい遅れて到着しました。」
「それは大変だったね。そのぶん角館での観光の時間は少なくなっちゃたね。」
「雨が降ってたから行く場所を絞りましたし、アプリで見たら角館から乗る『こまち』も30分くらい遅れてたから、駅に戻るのを遅くできました。」
「ああ、アプリの列車位置情報って便利だよね。」




