316.軌道変位(18)
「さっきから前方と後方っていってるけどさ、平面性って実際にはどのくらいの間隔の水準を使って計算してるの?」
「左右一対の車輪を車軸でつないだものを輪軸っていうんだけどね。」
「重量挙げのバーベルみたいな感じかな?」
「台車に備えてる2つの輪軸の間隔を『軸距』っていって、新幹線の場合は検測車の台車の軸距である『2.5m』を使ってる。」
「じゃあ、在来線は違うの?」
「在来線は『5m』を使ってる。」
「それって長すぎませんか?」
「実は手測定の場合って、軌間と水準は高低や通りと同じ個所で測るから、情報が5m間隔なんだよ。」
「そっか。5m先しか測ってないんだ。」
「あとね、昔は二軸車っていって、台車を使わずに車体の前後に輪軸を直接備えたタイプの車両も多かった。」
「あー、鉄道発祥の頃の車両なんて、そんな感じじゃなかった?」
「そう。まあ、そこまでさかのぼらないでも、国鉄の末ごろまでは二軸貨車がゴロゴロしてたらしい。」
「へえ。」
「で、5mっていうのはこの二軸車の軸距に近くて、しかもこうした車両の方が水準が悪い時の影響を受けやすいから有用だったんだって。」
「なら、今はそういう車両は少ないんだし、平面性を求める時に使う水準の間隔も短くした方が実態に即してるんじゃない?」
「そうかもだけどさ、間隔を短くすると全般に値が小さめになるでしょ。だから、補修する基準値を見直す必要があるし、良否を判断する時の感覚とかが馴染むまで混乱があると思う。」
「それが原因で勘違いして、悪い所を直しはぐったりしたら大変ですね。」
「そういう問題もあるかぁ。」
「まあ、補助的な情報としては有効なんだと思う。『3m平面性』なんていうのも見たことがあるし。」
「無くはないんだ。」
「内容みっちりだったね。」
「今日だけで夏休みのほとんどが終わっちゃった気分です。」
「口頭で説明しようとすると難しいよ。」
「部室にホワイトボードがあると良かったかもですね。」
「それだと、本当に授業みたいになっちゃいそう。」




