312.検測車(8)
「マヤ車は車掌室のある方が後位なんだね。車掌さん用の扉を見れば良いのかな?」
「車掌さんは後ろに乗るってイメージがあるから、わかりやすそうですね。」
「ところがね、実は検測員さんの乗降用ってことで、前位にも似たような扉が付いてるんだ。」
「あれま。」
「ただ、実はマヤ車にはキロポストなんかを確認するために、特徴的な出窓が左右に付いてて、これが前位側に寄った位置にあるんだ。なので、扉よりもこの窓の位置を見た方が前後を確認しやすい。」
「出窓があるから『展望側』なの?」
「いや、実際に展望側は眺めが良いみたいだよ。妻面が3枚窓になってて、車掌室が無いから仕切りの壁も無い。」
「で、その展望側に向かって左右を決めてるんだ。マヤ車の向きが大事なんだね。」
「なので測定結果には線名や上下別に加えて『展望前』『展望後』っていう言い方でマヤ車の向きも記録しておく。」
「そういえば、どんな風に記録するの?」
「距離方向は1㎞を通常は1m、変位は2分の1の縮尺で、65㎝幅のロール紙に記録してた。これを『マヤチャート』って呼んでる。」
「マヤ車のchart図ってことですね。」
「下り線を展望前で測定してるときは、左レールが左側、右レールは右側に出るからわかりやすい。」
「そうだね。」
「でも例えば京浜東北線とか山手線なんかの線路で東京を通り抜けると、車両の向きは変わらないままで、レールの左右別は逆になるから、東京の北側か南側か、どちらかは確実に逆転してる。」
「ああ、そういう関係なんだ。さっそくわけがわからなくなり始めてる。」
「方向を把握するのにはコツみたいのがあるらしい。」
「『マヤ車 チャート』とか『軌道検測車』とかで検索したけれど出てこないね。マヤ暦なんかが出てきちゃう。」
「もともと外部に出すようなものじゃないし、今の検測車は画面に表示して紙のチャートなんて無いだろうから。」
「トモは何で知ってるの?」
「伯父さんとこでマヤチャートの見方の教科書を見せてもらった。」
「そんな本もあるんだ。」




