310.軌道変位(14)
「水準は左右のレールの高さの差だよね。」
「そう。」
「これってどっちを基準にして測るの?」
「基本は左レールが基準らしい。そして右レールが高ければプラス、低ければマイナスで表す。」
「やっぱり左側が優先なんだ。でも、基本ってことは例外もあるんだね。」
「例外になるのは曲線区間。左右のレールのうち、カーブして行く側のレールを円の内側になるから『内軌』、反対側を『外軌』っていうんだけどね。」
「左カーブだと左レールが内軌で右レールが外軌ってことですね。」
「外軌側は遠心力を打ち消すための『カント』っていうのが付けられて、内軌より高くしてある。」
「競輪場のカーブのところにもそういう傾斜があるよね。」
「この場合、低い方の内軌側を基準にして、外軌側の高さと正規のカント量との差を測って、高ければプラス、低ければマイナスで表すんだ。」
「ってことは、右カーブだと右レールが基準になるから、他の区間とは正負の向きが逆転するんですね。」
「そういう場所ごとに変わっちゃうのって困らないのかな。」
「うん。まあ、現場の人はそれで作業してるんだから、大丈夫なんだろうね。」
「慣れってことなんでしょうか。」
「さて、それをふまえて、ここからは混乱してください。」
「あれ?まだ例外的な状態が?」
「今説明したのは現場での基準であって、在来線の『高速軌道検測車』では『展望側』に向かって『右』を水準の基準にしてたらしいんだよ。」
「え?右が基準?それに展望側って何?展望車になってるの?」
「水準の測定が右基準になった理由については知らない。」
「トモの伯父さんも知らないのかな?」
「伯父さんも知らないって言ってた。なので、ここはそういうもんなんだなって思って。」
「投げやりだなぁ。」
「在来線のカントは外軌側を高くしているけれど、新幹線だとカント量の半分だけ外軌側を高くして、残り半分は内軌側を低くしてるんだって。」
「面倒そうなことをしてるんですね。」
「うん。多分面倒。でも、そうすることで、車体の重心位置の上下移動を防いでる。」
「そっか、高速で走るから、そういうところも気を付けてるんだね。」




