309.軌道変位(13)
「さて、次は『軌間』かな?」
「そのつもり。」
「軌間はレールの間の幅だよね。」
「うん。軌道変位としての軌間は、そこで使ってる軌間との差を測定する。」
「さっき言ってたけど、拡大してる方向がプラスで、縮小してる方向がマイナスで表すんだっけ。」
「そう。わかりやすいよね。」
「それでさ、ちょっと思ったんだけど、左右の通りの値を足したら軌間になったりしない?」
「ならないんじゃないですか?通りって測定する側のレール内だけで完結してますよね。」
「同じ側のレール上で前後との相対的な位置を測ってるだけで、反対側のレールは一切考慮してないから、左右レールの間隔に直接つながる情報は含んでないんだよ。」
「そっかぁ。傾向ぐらいならわかると思ったんだけど。」
「傾向は似てくると思うよ。周囲よりは広めだろうとか、周囲よりは狭そうとか。」
「でしょ。」
「だけど、ここで必要な情報は正しいレール幅との差異なんだ。これが広がりすぎたり、狭まりすぎたりすると脱線の危険性が高まるから。」
「そっか。相対的な情報だけだと、本当に大丈夫かの判断ができないんだ。」
「とはいっても、軌間も相対的な情報ではあるんだよ。」
「そう?」
「高低や通りもそうだけどさ、設計上の絶対的な位置との比較ってのは行ってない。」
「言われてみればそうだね。」
「軌間が拡大してるっていっても、左右両方に広がってるのか、片方だけなのか、全般に移動したうえで広がってるのか、そういうのはわからない。」
「左右双方へ5㎜ずつ拡大してても、左レールが左へ20㎜で右レールが左へ10㎜と移動してても、どちらも+10㎜なんですね。」
「そういうのを一緒にしちゃって大丈夫なの?」
「今の例で、後者の場合は多分左レールの通りに大きな値が出るから、そっちで判断できるはずだよ。」
「あ、そっか。」
「『通り』は左右それぞれのレールの状態、『軌間』はその左右のレールの関係を確認する項目で、それぞれが補完しあってるってことですね。」
「うん。そういう分担だね。」
「そうすると『高低』と『水準』も似た関係なんでしょうか。」
「そのとおり。なので、次は『水準』の話をするね。」




