305.軌道変位(11)
「線路を直す量を求める方法って、たぶん難しいんだよね。」
「伯父さんから教えてもらったのは『糸張式曲線整正』っていうのなんだけど、教科書にはいかにも『数学』って感じの式が並んでた。」
「あ、やっぱり。気にはなるけど俺はもうキャパオーバーだから教えてくれないでいいや。」
「ボクはちょっと興味ありますね。」
「ざっくり説明しておくと、弦長の半分の間隔で連続的に測定した正矢を使って、移動する量とその時に残留する正矢を計算する方法。」
「まさに今聞いた測り方の情報を使うんですね。」
「計算自体は機械的にできるし、実際に『曲線整正計算器』っていう器具が昔から使われてたって。」
「今なら計算ソフトがありそうですね。」
「うん。あるらしい。ただ、口頭で説明するのはちょっと難しいんで、ナオの希望もあるし今回は割愛させてください。」
「そうして~。」
「計算方法は置いとくとして、通常は、線路を移動する量をなるべく少なくして、かつ歪みも小さくできるように直すってのが基本になる。」
「相反することな気がするんですけど。」
「だけど、作業量や仕上がり状態に直結するから、こうした方法でシミュレーションしながら、最適な移動量を見つけるらしい。」
「ともあれ、高低と通りの話はこれで終了?」
「ひととおりはね。」
「結局計算問題は何だったの?」
「測定した正矢の性質を紹介できそうかなと思って。」
「う~ん。いたずらに混乱を招いただけに思えるんだけど。」
「ボクは面白かったですよ。」
「そう?線路の話ってよりも、すっかり数学の話になっちゃってたよね。」
「そうだったね。そのうえで、せっかく説明したから、最後にその計算方法について一応まとめておこうと思うんだ。」
「これで最後?本当に最後?」
「うん。『数学!』って感じの話はひとまず次回でケリをつけるつもり。」
「次回ってなに?ずっと前にも言ってたよね。」




