302.軌道変位(8)
「じゃあ、次はDの位置の数値を求めるんだね。」
「うん。」
「ふと思ったんですけれど、測定値はしばらく『+3.1』が続くんですよね。」
「そういう想定にしてみた。」
「ってことは、Dの位置以降も補助線からの長さは、ずっと『-6.2』になるんじゃないですか?」
「あ、気が付いちゃった?」
「それで、『接線』とは違いますけれど、この補助線に沿って同じ距離を進んだ時の変化量が一定ってことは、これ『円』になるんじゃないでしょうか。」
「大正解です。この場合は、次第に右の方へ向かって行く『円曲線』の形になるよ。」
「へえ、すごい。良くわかったね。」
「ちなみになんだけど、正矢を得た箇所の範囲を円曲線であったとみなした場合、その曲線の半径は『弦長の二乗を正矢の8倍で割る』ことで求められるんだって。」
「え?え?」
「そういう式があるんですか?」
「うん。それを使って計算すると、ここの範囲の半径は4032mになる。」
「惜しい。もう少しで4000ちょうどなのに。」
「実はこの例題は半径4000mの円曲線を想定したものなんだ。」
「そうだったんですか?」
「今言った計算式はこんな感じ。その式を変換すると逆に半径から正矢を求めることもできる。」
・ 半径 = 弦長^2 ÷ (8 × 正矢)
・ 正矢 = 弦長^2 ÷ (8 × 半径)
「似たような式ですね。」
「これを使って半径4000mの場合の正矢を求めると3.125㎜になる。本当はこのまま使いたかったんだけどね。」
「小数点以下1桁しか扱わないから省略されちゃってるんだ。」
「その分が半径を逆算した時の誤差になっちゃうんですね。」
「誤差って結構あちこちに潜んでるんですね。」
「今の小数部分の切り捨てもそう。計算結果も近似値だし、誤差はどうしても出ちゃうんだよね。」
「さっき百分の1㎜単位での誤差って聞いたときは、たいしたことないって思っちゃったけど、結構影響があるんでびっくりだよ。」
「それとだけど、今回はわかりやすさのために歪みの無い円曲線を例に使ったけれど、本来はこの+3.1っていう計画値に歪みが加わった数値を扱うことになる。」
「じゃあ、歪みとして扱うのには計画値を取り除く計算が必要なんですね。」




