301.軌道変位(7)
「軌道変位に符号が付くとレールの歪みの方向を表せるんですね。」
「そう。そこで、さっきの計算問題に想定を追加するね。」
「あれって計算問題だったんだ。」
「測定したのは『左レールの通り』で、B位置の測定値は『+3.1』だった。そして、C位置以降もしばらく同じ『+3.1』が続く。」
「少しだけ量が増えてプラスの符号が付いたんだ。プラスの値の通りだと外側にあるんだから、左レールなら左側に出っ張ってる形だね。」
「それでね、測定した位置をX座標、計算で求めた数値をY座標としてグラフ化してみる。」
「これって、ひょっとしたら、元の形を求めてるんじゃないですか?」
「良くわかったね。ただしX座標はそのままだと長すぎるから千分の1にスケールダウンする。」
「えっと、5m間隔だから5㎜間隔にするんだね。」
「それと、ひとつ大事なことがあるんだ。」
「っていうと?」
「さっき求めた『6.0』って数値、想定を変えたから『6.2』になるけれど、これの符号ってどうなると思う?」
「当然プラスでしょ。」
「そうかな?プラスなのはAとCを結んだ線からBを見た時の位置だよね。」
「あ、AとBを結んだ線の方から見ると、Cは反対方向にありますね。」
「あれ?たしかにそうだね。ならマイナスになるの?」
「三角形ABB'と三角形ACC'って相似だったじゃない。でも、B'から見たBと、C'から見たCは逆方向にあるってことになる。」
「あ、三角形の向きが反転してるんですね。」
「そう。だからそれを考慮すると、単純に2倍にするんじゃなくて、-2倍にすることで形の反転を反映できる。」
「そういうことができるんですね。」
「ところで、CのY座標は計算で求めた数値を使うとして、AとBのY座標はどうするの?」
「AとBを通るように直線を引いたでしょ。なのでAとBの数値は初期値として強制的に『0.0』にする。つまりこの線がX軸の方向ってことになる。」
「冷静になって考えると、試験期間が終わったばかりだっていうのに、俺たちいったい何をしてるんだろう。」
「たぶん試験で抑圧されてたトモさんの憂さ晴らしに付き合わされてるんですよ。」
「ふふふ。そんなことはないよ~。」




