300.軌道変位(6)
「それで、Cの位置の長さがわかるとどうなるんですか?」
「その前にいったん図形からは離れて符号の話をしておくね。」
「ちょっとひと休みを期待しても大丈夫かな?」
「『高低』の場合は糸から見て、それよりも高い位置にレールがある場合をプラス、低い位置にある場合をマイナスで表す。」
「プラスは出っ張ってて、マイナスはへこんでるのを表してるんだね。」
「『通り』の場合は糸から見て、2本並んだレールの外側方向にある場合をプラス、内側方向にある場合をマイナスで表す。」
「これも、出っ張りをプラス、引っ込みをマイナスってことなんだ。」
「あれ?でもそれって変じゃないですか?」
「そうかな?」
「例えばレールが左側に歪んでる場合だと、左レールは外側方向に行ってるからプラスで、右レールは内側方向に行ってるからマイナスってことになりますよね。」
「あれ?同じ方向に歪んでるのに符号が逆になるんだ。たしかに変だね。」
「これは、わざとそうしてるんみたい。」
「そうなんですか?」
「ナオが言ったとおり、プラス・マイナスの符号は、左右の方向よりもレールの内外への方向との方が馴染みが良いと思うんだ。」
「そうだね。左右の方向なんて、後ろ振りむいたら逆になっちゃうじゃない。そのたびに俺なら混乱できる自信がある。」
「まあ、それは極端だけどね。それに、このあと説明する『軌間』もレールの間が拡大する方向をプラス、縮小する方向をマイナスにしてるから、それとの整合もとれる。」
「うん。その方が間違いが少なそう。」
「だけど左右のレールを見比べると符号が正反対になってるんですよね。それを利用して線路を直すときとかに混乱しませんか?」
「だから通りを直す作業、文字どおり『通り直し』っていうんだけれど、それは左右いずれか片方のレールを『基準レール』に選んで実施するみたいだよ。」
「高低を直す作業は『高低直し』?」
「高低の場合は『むら直し』っていう。」
「市町村の村じゃないよね?」
「漢字だと斑点の斑とか斑っていう字。『斑』とも読むんだよ。書くときにはひらがなを使ってるけどね。」
「色ムラとか、ムラっ気とかのムラですか?」
「そう。それと同じ言葉。」




