299.軌道変位(5)
「あ、ボクわかった気がします。」
「え、ホント?」
「はい。三角形ABB'と三角形ACC'は相似になってますよね。それでAとBの間の長さを倍にしたのがAとCの間の長さだから、CとC'の間の長さはBとB'の間の長さの倍で『6.0』じゃないですか?」
「正解、と言いたいところだけど、ちょっと説明が必要。」
「そうなの?俺には正解に思えたけど。」
「ふたつの三角形が相似形なのは合ってるんだけど、AからBまでの長さはCまでの長さの半分よりもちょっとだけ長い。」
「あ、そうでした!」
「今の説明でわかったんだ。」
「はい。半分の長さなのはAからB'までの長さでした。AからBまでの長さはAB'間とBB'間の長さをそれぞれ二乗してから足した数の平方根。そういうことですね。」
「そっか。三平方の定理だ。」
√(5^2+(3÷1000)^2)
「こんな感じで計算してみて。」
「この『^2』は二乗するんでしたよね。3を1000で割ってるのはどうしてですか?」
「3㎜の方をm単位に揃えてる。」
「スマホの電卓で計算したら『5.00000089999991』だって。」
「差分がわかればよいから、5を引いて千倍してみようよ。」
「あ、なるほど。う~ん、それでもまだ0が多いから…、もう一回千倍して『0.89999991』になった。」
「約0.9マイクロメートルだね。それがAからBまでとB'までの長さの差分だよ。」
「びっくりするほどちょっとの差なんだね。」
「今の例だと5mの長さに対して、千分の1㎜にも満たない誤差なんですね。」
「それでも計算結果に誤差を含んでることは確かなんで、この『6.0』っていう答えは正確には『近似値』ってことになる。」
「これって目測で測ってる誤差のほうが確実に大きいよね。」
「そうだね。さらに値を0.1㎜単位にすることで、百分の1㎜単位での誤差は避けられない。」




