297.軌道変位(3)
「高低と通りは、左右それぞれのレールについて調べるんだね。」
「うん。一般的には『10m弦正矢』ってのを測ってる。」
「ゲンセイヤ?」
「『10m弦』の『正矢』。」
「そこで区切るんだ。」
「例えば高低なら、レール頭頂面の10m離れた箇所の間にまっすぐな糸を張る。これが『弦』。」
「弓に弦を張るみたいな感じ?たぶん漢字だと同じ字だし。」
「そう。その糸から垂直方向にレールとの離れを測ったのが『矢』。」
「なら、レールが弓な感じだ。」
「そうした矢のうち、糸の中央部のものを正しいに矢と書いた『正矢』といって、これを記録する。」
「通りも同じように、今度は水平方向に測るんですね。」
「こうした手測定は『糸張り検測』って呼ばれる静的検測のひとつ。」
「以前に話してた動的と静的の静的の方だ。」
「これを手測定の場合は5mおきに、0.1㎜単位で測定する。」
「測定する間隔は、もっと狭くなくて良いんですか?」
「歪みが発生するっていっても、レールはそんなにグニャグニャと曲がるものでもないから。それに測定する箇所が増えると作業が大変。」
「まあ、確かにそうですね。」
「それとね、この測定間隔にはちゃんとした意味があるんだ。」
「そうなんですか?」
「0.1㎜なんて目で見て測れるの?」
「1㎜って意外と長さがあるんだよ。」
「確かにそういわれるとそうかもだけど。」
「定規を当てて、ちょうど目盛りの位置ならば1.0でしょ。」
「そうですね。」
「だけど、わずかに少ないかなって思ったら0.9、少し超えてるならば1.1。そんなふうに、感覚的な部分を数値に反映してるんだと思うよ。」
「アナログ時計で5分刻みの目盛りだけでも、だいたい何分かわかるのと同じ感じですか。」
「うんそう。それ。」




