273.東京都交通局(3)
「それにしても都営地下鉄って、何でここまで路線ごとに違うんだろう。」
「まず浅草線だけど、ここは京急と京成へ直通するために標準軌を選んだ。」
「関東地方では標準軌って珍しいよね。」
「京急が使ってた軌間に合わせてる。京成は都電と同じ1372㎜だったけど直通運転に備えて標準軌に改軌してる。」
「そうなんだ。」
「三田線の場合、当初は浅草線と同じ標準軌を予定してたんだけど、東急池上線と東武東上線へ直通することになって、軌間も1067㎜に変更された。」
「あれ?東急には乗り入れてるけど、池上線じゃないよね。」
「うん。東急側は開業前に乗り入れ計画が中止になって、東武側もその後に白紙状態になった。」
「はしごを外された感じですね。」
「開業から四半世紀以上経ってようやく、東急側は目黒線との直通運転を開始した。」
「今では相鉄まで直通してるよね。行き先が複雑になった原因のひとつだ。」
「新宿線は京王線の軌間に合わせた。京王は東京市電に乗り入れる構想があったから都電と同じ珍しい軌間を使ってる。」
「それでですか。たしかに新しく建設する側が合わせた方が合理的ではありますけど。」
「そして、大江戸線はそれまでに開業していたリニア駆動地下鉄の規格に合わせて標準軌になった。」
「リニア地下鉄って、みんな標準軌なんだ。」
「うん。これを狭軌に変更しようとしたらリニアモーターの一次側、車両の台車に組み込んだ装置をこれまでよりも狭い幅に格納しなくちゃいけなくなる。」
「コンパクト化って難しいんですよね。開発に時間もお金も掛かりそうです。」
「なら、これまでと同じ規格を使った方が無難だね。」
「ぶっちゃけそういうこと。」
「見事に外的要因ばかりなんだね。」
「そうだね。地下鉄以外だと、荒川線は都電唯一の生き残り。上野懸垂線は新しい交通システムの試行を目的に建設されたけれど、実用化されることなく遂に廃止になった。」
「ちょっと哀愁を感じますね。」




