260.雨量規制(4)
「あのさ、雨の降った量で土に浸み込んだ水の量を推定できるみたいなこと言ってたよね。」
「うん。言った。」
「これまでの説明で雨量規制に反映されてるのは無かったと思うんだけど。」
「まだまだその先の話があるんだよ。」
「もったいつけるね。」
「JRが発足すると、各社は国鉄時代の雨量規制を踏襲しながら、地域ごとの実態を踏まえて長期間の降雨の影響を反映しようと試みたんだ。」
「どんなことをしたんでしょう。」
「たとえば、5日間の『積算雨量』とか、雨が降り始めたら過去1週間の雨量を反映させるとか。」
「それでもやっぱり、これまでの延長な感じ。」
「うん。だけど、そうした試行のなかから、実際の土の中の水の量を考慮した基準が出てきた。」
「ようやくですね。」
「JR東日本の場合は、20年ほど前に『実効雨量』っていう指標で従来の方法を置き換えた。連続雨量では雨量を単純に累積してたけれど、流出する量を考慮した計算に変更したんだ。」
「どんな感じでしょう。」
「雨量を加算してゆくのは一緒なんだけど…、例えば12㎜の雨量があったら、最初に12を足して、あとは1時間ごとに4ずつ引く。」
「えっと、それだと3時間後には0になるんだ。たしかに降った量と流れ出る量と両方を反映させてる。」
「実際の計算方法とは違うし、もう少し長く影響が残るような減らし方にするんだけどね。」
「ちょっとずつでも影響が蓄積して行く感じだね。」
「残った水量が半分になるまでの時間を『半減時間』っていうんだけど、実際の水量や災害発生との関連性が高い半減時間をうまく選定することが重要。」
「たしかに。」
「JR東日本の場合は1.5時間、6時間、24時間を使ってる。」
「3パターンあるんですか。」
「地表面の水量を想定して時雨量に相当するのが1.5時間、浅い層に浸み込んだ水量を想定して連続雨量に相当するのが6時間、深い層まで浸透した水量を想定して累積雨量に相当するのが24時間。」
「『実効雨量』って他の会社でも導入してるんでしょうか。」
「どうだろう。JR東海では時雨量による規制はそのままに、長期間の降雨に対しては連続雨量による規制から『土壌雨量』というのに置き換えてるよ。」
「また新しい言葉が出てきた。」
「これは降雨量をモデル化して計算するんだって。気象庁の『土壌雨量指数』ってのと同じ計算モデルを活用してるそうだから、詳しく知りたかったらそっちを見てね。」
「ここで丸投げ?」




