258.雨量規制(2)
「雨での運転規制って、どんな風にしてるの?」
「徐行や運転中止は『雨量』で判断してる。雨量規制の基準値は区間ごとの実情に合わせて決められてる。」
「山間の区間で運転見合わせになりやすいのは、基準値が低く設定されてるのかな。」
「それもあるだろうね。で、その雨量なんだけど、1時間前からの雨量を合計した『時雨量』と、降り始めからの雨量を合計した『連続雨量』っていうのが国鉄時代から長く使われてきた。」
「それだけの実績があるってことですね。」
「雨が一度に大量に降ったときは『時雨量』の基準で運転規制が行われる。排水が間に合わなくなって線路が冠水したり、土砂流入とか道床流出なんかの起きる可能性がある。」
「ゲリラ豪雨なんかがこれですね。」
「それから、雨が長く降り続いたときは『連続雨量』の基準で運転規制が行われる。斜面やのり面が崩壊するとか、より大規模な災害が起きる可能性がある。」
「これが土の中に水が浸み込んでる状態だ。」
「連続雨量が一定値以上になると、時雨量の基準値を下げるっていう仕組みもある。」
「えっと、水が大量に浸み込んでいるから、少しの雨でも規制するっていうことですね。」
「あれ?だけどさ、それって土の中の水の量を把握してるってわけじゃないんだね。」
「それは経験と実験の積み重ね。」
「そうなの?」
「レンチンして食べる冷凍食品があるじゃない。」
「何?もうお腹すいたの?」
「じゃなくて。あれってワット数と時間を守れば美味しくできるでしょ。温まり具合の確認とか味見とかはメーカーさんの方で十分に済ませてくれてある。」
「そっか。水の浸み込んだ量も、降った雨の量で推定できるんだね。」
「うん。でも、その前提が間違ってたり条件が不足してたら…。」
「まずいですね。」
「過去にはそれで大事故が起きたことがあるんだ。」
「鉄道の安全は経験に基づいて築かれてきた部分が大きいんだ。」
「その経験って、ひょっとして事故ですか?」
「残念ながらね。運輸安全委員会が脱線事故防止の意見を出した話をしたじゃない。」
「そっか。そうやって事故の分析と対策を積み重ねてきたんですね。」




