251.雨(1)
「雨の季節だね。」
「学校来るのが億劫になるよ。」
「雨降ってる日の朝は電車が遅れるしね。」
「傘とか濡れた荷物とかにくっつきたくなくて、乗るのをためらっちゃうから乗降に時間がかかるってのはどう?」
「そんな気もしなくはないですけど、どうなんでしょう。」
「それよりもさ、バスは遅れるし、逆にそれを見越して早く出る人もいるじゃない。みんなの乗る時間がいつもとズレるから、混雑具合のバランスが崩れて遅れるってのは?」
「うーん。それってまとも過ぎて面白くない。」
「面白さを競ってたんですか?」
「真面目な話をすると…、そういえば『面白い』と『真面目』って漢字にすると字面が似てない?」
「いきなり脱線した。」
「トモさんは、何をしたいんでしょう。」
「えっと、何だっけ。あ、そうそう。電車も雨に弱いって話をしようと思ったんだ。」
「ん?電車も弱いの?」
「雨が降り始めた時に起きやすいそうなんだけど、濡れだしたレールの上だと車輪が滑りやすいんだって。」
「滑っちゃうんですか?危ないですね。」
「レールと車輪って、どっちも鉄だから本来は摩擦力がそれほど大きくないんだよね。だけど電車1両を40トンとしたら、8個ある車輪には1箇所あたり5トンの重さがかかる。」
「ちょっと考えられないような重さですね。」
「これだけの重さが車輪とレールの接してる1点に集中するから滑りにくくなるんだって。」
「これが雨でレールが濡れると滑りやすくなっちゃうんだ。」
「梅雨、早く終わってほしいな。」
「だけど、梅雨が終わると途端に暑くなるんですよね…。」
「あ、カラ梅雨だと農家さんが困っちゃうよね。梅雨、長く続いてほしいな。」
「…。物凄い手のひら返しですね。」
「聞き流しといて構わないよ。トモは暑くても寒くても文句言うんだから。」




