232.新歓合宿(4)
「それにしてもユウが女子だっていう情報は漏れなかったね。」
「みんなあまり部室に来ないからだと思う。」
「会長をはじめとして、ユウと会ったことのある人はそこそこ居たのに。」
「ボクも普段から男子寄りの服装ですし、声もそこまで高くないですからね。」
「あと、部室に女子が居るわけないっていう思い込みも大きかったと思う。」
「グループチャットを含めて、女子アピールもしてませんでしたから。」
「新歓幹事のキロさんには宿の部屋割りの件で知らせてたんだよ。黙ってるようにとも頼まなかったし。」
「キロさんも面白そうだと思ったってことですね。」
「ユウが女子だとわかったら、みんな少しは部室に来てくれるかな。」
「ボクをエサにしたってことですね?」
「エサ…、とまでは思わなかったけど気を悪くしたならごめん。ただ、ユウが呼び水になってくれることは期待した。ともかく部室がもう少しでも賑やかになればなって…。」
「1年生の時は俺たち二人だけで寂しかったものね。」
「だけど、あの最初の反応を見ちゃうと、どうなんでしょうね。」
「あー、自分を棚に上げて言うけど、女子への免疫無さそうなメンツが揃ってるもんなぁ。」
「かえって逆効果になっちゃったかもね。」
「それにしても、僕たちが入学する前は当番制で部室番をしてたってのは昨日初めて聞いたよ。」
「それが俺たちがいつも居るから、当番要らないんじゃねってなったってねぇ。」
「誰か来ないかなって待ってたのに、それが原因で誰も来なくなるのってどうなのよ。」
「木更津から、こっち方面に乗って来た人って思ったより少なかったですね。」
「久留里線とか小湊鉄道へ行った人が多かったみたい。」
「向こうのボックス席の4人組はこの列車で終点の上総一ノ宮まで乗り通して、房総半島を一周して帰るらしいよ。」
「何時間くらいかかるんでしょう。」
「この列車だけで3時間ってのはわかってる。でも俺、しばらくそういうのはいいや。」




