221.営業キロ(2)
「新幹線の営業キロと実際の距離って、どのくらいの差があるんだろう。」
「実際の距離は『実キロ』っていうんだけど、終点までだと営業キロよりも数十キロ単位で短いんじゃないかな。ネットなんかで調べると出て来るよ。」
「その実キロの方で計算したら、もう少し運賃を安くしてもらえるんじゃないですか?」
「うん。そういう内容での訴訟も起きたことがあるそうだよ。」
「やっぱり、そう考えちゃいますよね。」
「当時の国鉄運賃は『国有鉄道運賃法』ってので決められてたんだけど、当時は営業キロの決めかたが書かれてなかったんだって。」
「え?そうだったの?」
「うん。最終的には『書かれてないのは国鉄の裁量に任されてるからだ』って判断になって、国鉄側が勝訴したらしい。」
「何だか詭弁に聞こえますが。」
「実は、裁判と並行して『営業キロは実キロを原則としながら、線増の場合は並行する区間のものを使える』ってする法改正が行われたそうだよ。」
「泥縄って言葉を思い浮かべたんですけど、使い方として合ってるか自信がありません。」
「新設したトンネルや橋に全面的に切り替えて、元の線路が残らない場合はどうするの?」
「大規模な工事で延長が変わった場合には『改キロ』を行って運賃改定を行うことがある。」
「短くなった分、運賃が安くなるのは嬉しいですね。あ、でもお金をたくさんかけたのに、値下げしなくちゃってどうなんでしょう。」
「こうした設備改善は、安定輸送とか、速度向上とか、そういう目的があって行う投資だから、それに伴う一時的な減収は織り込み済みだと思うよ。」
「『損して得取れ』ですか。」
「ただ運賃改定は他の会社にも関連して影響が大きいから、些細な差なら反映しないことがあるし、設備の完成と改定を実施するタイミングがズレることも多い。」
「新幹線でも実キロを使ってるところがあるんだっけ。」
「うん。北陸新幹線以降、並行在来線の経営分離が行われた区間は並行する線路が無いことになるから、そこは実キロを営業キロに使ってる。」
「駅間毎でみると営業キロよりも実キロの方が長いところもあるよ。」
「そう?山とかあってもトンネルで直線的に結ぶし、長くなる要素は無い気がするんだけど。」
「少なくとも上野・大宮間と大宮・熊谷間は営業キロの方が短かったはず。」
「あ、大宮まで埼京線沿いに遠回りしてるっけ。」
「うん。この辺りは在来線の方のが直線的で、新幹線は在来線に沿った市街地を大きく迂回してるから距離が長くなってる。」




