215.電動貨車(1)
「昔中央線で走ってたっていう101系ってどんな電車だったんだろう。」
「電動貨車。」
「え?」
「伯父さんの同期にそう言ってる人がいるらしい。」
「電動貨車って何ですか?」
「貨車にパンタグラフやモーターが付いてて自走できるようになってるやつだよ。」
「貨車にですか?電気機関車とは違うんですよね。」
「ねえナオ、多分その説明だけだと想像できてないよ。」
「そう?」
「ユウが考えた貨車って、コンテナ車とか石油を運ぶタンク車じゃない?」
「はい。そうですけど。」
「あー、なるほど。そうなっちゃうんだ。」
「ね。なので、写真見てもらった方がわかりやすい。」
「うわ。なんかゲテモノって感じですね。トラックみたいなのと…、こっちのは似たのが松電の新村駅で車庫の脇に置いてありました。パンタグラフ、ホントに付いてるんですね。」
「なるほど。こういう反応なんだね。」
「松電のは本物の貨車だったと思う。でも形は似たような感じでしょ。」
「はい。最初見た時は古い物置かと思ったんですよね。」
「この物置みたいってのが『有蓋車』タイプで、トラックみたいのが『無蓋車』タイプ。」
「有害?無害?」
「またユウが誤解してるみたいだよ。」
「そっか。『がい』は蓋って字の音読み。蓋は蓋うとも読むんだけど、覆い、つまり屋根の有り無しをこれで表してる。」
「屋根が有るのが有蓋で、無いのが無蓋ですか。」
「うん。」
「これって本来は貨物を運ぶための電車だけど、自社で使う資材や部品を運んだり、機関車の代わりに車両をけん引する『事業用車』としても多く使われていたんだって。」
「裏方さんだったんですね。」
「そうだね。だけどトラック輸送に置き換わったりして引退していったらしい。」
「101系電車は、こういうのと同じだって言われたんだ。」
「『あれは人を乗せて良い代物じゃなかった』だそうだよ。」
「そんなに酷いものだったんですか?」
「『通勤地獄』とか、過酷の酷の字を使った『酷電』なんて言葉が使われていた頃にヘビーユーズしてた人による個人的な見解です。」
「確かに昔の電車の混雑って凄かったそうだからね。」




