214.地下鉄(6)
「『地下鉄等旅客車』。言いにくいね。これって、一般の車両との区別が無くなったんなら、今は使われてない言葉ってこと?」
「全部を読んではいないけど多分無いかな。だけど求められていた要件が他にもあって、それは形を変えて今も残ってる。」
「何でしょう。」
「地下鉄の車両で印象的な部分に関連するんだけど何だと思う?」
「う~んと…、車両間の通路が広いとか。」
「広い電車もあるけどハズレ。でも惜しいかな。」
「あ、正面の扉じゃないですか?非常口になるって聞いたことがあります。」
「そう。あたり。」
「確かに地下鉄は独特な顔つきの電車があるね。」
「新省令だと条件が『施設の状況によって非常時に側面から避難できない区間を走行する列車』に変更されて、最前部の前端と最後部の後端から避難できるようにって求めてる。」
「すぐ脇がトンネルの壁だと出られないからってことかな。」
「うん。旧省令で地下式構造の鉄道は、条件を満たせば車両と構造物の間隔を最小200㎜まで縮小可能だったんだ。」
「20㎝じゃ外に出られないですね。」
「それと、第三軌条方式の場合も。これは車両の横に降りたら感電の危険がある。」
「うひゃぁ。たしかに。」
「あとは、専ら1両で運転するものを除いて、貫通口と貫通路、つまり車両間の通路を設けることも求められてる。」
「前後の車両に逃げられるようにってことだね。」
「旧省令でも地下鉄等ってなってたけど、新省令でも地下に限定してないから、モノレールとか新交通システムなんかも列車の前後から避難できるようにする対象に含まれるよ。」
「うん。モノレールは側面から退避できない。」
「っていうか正面からでも、あのレールの上に降りるのは怖いです。」
「実際には救援に来た他の車両に移乗するんだと思う。」
「そういえば地下駅についても何か決められてるんだよね。」
「うん。『地下駅等』については換気設備や火災対策設備の設置が求められていて、それは新省令にも引き継がれているよ。」
「武蔵野線も地下区間って多いじゃない。」
「うん。都内の区間は8割がたトンネルじゃないの?」
「開業した時には101系電車の火災対策を強化したものを使ったんだって。」
「101系って昔の中央線なんかで運転してたっていう電車だっけ。あれの前後に非常扉を付けたの?」
「いや、武蔵野線のトンネルは側面から避難できるだけの広さがあったから、正面はそのままで防火対策だけ行った。」




