213.地下鉄(5)
「それで、省令ではその…、地下と長大トンネルの鉄道だっけ、それについて何て書いてるの?」
「鉄軌道で大事故っていうと衝突や脱線だよね。」
「うん。」
「だけど、車両火災でも過去に大きな被害が出ている。」
「そっか。昔の車両って木材とか使ってたんだっけ。」
「うん。金属性の車体になってからも内装や機器には燃えやすいものが少なくなかった。」
「ひょっとして、座席の布地とかですか?」
「そう。座席の表地や詰め物、車内の内張りに使う化粧板、最近は無いことも多いけど『日よけ』、あとリアルに糸を編んだ『網棚』とか。」
「燃えそうなもの、多かったんですね。」
「そういうものは、不燃性や難燃性の材料を使用するように決められていったんだけど、トンネル内での火災は大きな犠牲がでるってことで、特に強化されたんだ。」
「その対象が地下と長大トンネルってやつなんだ。」
「『主として地下式構造の鉄道』と『長大なトンネルを有する鉄道』だね。そこで使用する『旅客車』を『地下鉄等旅客車』、その駅やトンネルを『地下駅等』と定義してる。」
「あ、『地下鉄』が出てきましたね。」
「でも、確かに普通に思い浮かべる地下鉄とは違うね。」
「路線の事ではなくて、車両を対象にした言葉なんだよ。」
「火災対策を強化する対象の車両ってことですね。」
「そう。この車両については不燃構造の対象を拡大してる。例えば座席の場合、一般の車両は表地だけだけど、地下鉄等旅客車は詰め物も加えてる。」
「へえ。普通は表面だけで良いんだ。火が燃え移らなければ良いってことかな?」
「うん。そういう考え方だった。でも新省令では地下鉄等旅客車の基準を一般の車両にまで拡大したから、両者の差異はなくなっている。」
「全般に対策が強化されたんですね。」
「高崎で使ってる旧型客車みたいなトロ車両ってのも不燃構造にする対策ってしてるの?」
「うん。ただ、昔の材料には使えないものが多いから、復元って面では悩ましいらしい。」
「そうだね。雰囲気も大事だけど燃えちゃっても困るしね。」




