216.通勤型電車(1)
「101系電車の一般的な評価も知りたいんだけど。」
「『国鉄の新性能通勤型電車の祖』。そういって崇め奉ってる人も伯父さんの同期には居るらしい。」
「両極端ですね。」
「うん、だからね、そういうのじゃなくてさ、一般的な意見を求むっ。」
「いやまあ、信奉者のことは置いとくとしても、新性能電車の礎を築いた存在ってことは間違いないと思う。」
「そうなの?」
「細かい説明は省くけれど当時の最新技術を詰め込んでいて、それより前の国鉄電車を『旧型国電』ってひとまとめにして呼ぶきっかけになった存在。」
「そんな凄い電車だったんだ。」
「101系は高性能化を狙った『全電動車方式』、すなわち『オールM編成』で登場した。」
「『オール電化』みたいな言い方ですね。」
「全部がモーター積んでるってことだよね。」
「モーターの出力を高めるのではなく、モーターを積む車両を増やして編成としての性能を上げようって考え方。」
「そういえば『動力分散方式』っていうんだっけ?」
「うん。モーターの重量も編成全体に分散できるから、欧米に比べて脆弱な日本の線路事情とも合ってたんだって。」
「そんな事情もあったんですか。」
「こういった技術は、その後に登場する特急や新幹線の電車に活かされてるよ。」
「確かにパイオニア的な電車だったんだね。」
「ただ、使用電力量に電力設備が追い付いていないといった問題が発覚して、全電動車化は断念することになった。」
「それは迂闊でしたね。」
「それで付随車、『T車』を入れざるを得なくなって、計画した性能を発揮することができなかった。」
「残念だったね。」
「だけど実は最晩年の101系は全電動車で運転されていたんだよ。」
「え?そうなの?」
「南武線の浜川崎支線。たった2両の短い編成だったし、性能を発揮できてたとは言えないけどね。」
「哀愁を誘うね。」
「ところで『M』とか『T』ってのは何ですか?」
「『M』はモーターを積んでる『モハ』で、『T』は積んでない『サハ』だっけ。」
「そんな感じ。電動車はmotor、付随車はtrailerの頭文字を使った記号だね。」
「そっか。どうしてサハが『S』じゃないのか疑問だったんだ。」
「MとSを組み合わせたら、何かまずそうじゃない。」




