205.まくらぎ(7)
「測定には軌道検測車等が有効ってあるけれど、これってEast iなんかのこと?」
「そう。」
「『動的軌道変位測定』って難しい言葉が書いてありますね。」
「あ~っ!!」
「えっ?!」
「そこを語らせると長期戦になりそうだから避けてたのに…。」
「大丈夫。そのあたりのことは夏休み集中講座用に取っといてるから。」
「あぁ、やっぱり忘れてなかったんだ。」
「えっと、なんだかすみません?」
「それじゃあ、ざっくりとだけ説明するね。」
「はい。」
「軌道変位ってのは軌道、つまり線路のことだけど、その歪みのこと。」
「それに、動的っていうのと静的っていうのがあるんですね。」
「ここにも書いてあるように、何もない状態での線路の歪みを『静的軌道変位』、実際に走行する車両の重量や走行の衝撃が加わった時の歪みを『動的軌道変位』っていう。」
「試験車が動いてるから動的?」
「うーん、ちょっとニュアンスが違うかな。車両が通った影響で、線路が沈み込んだり、左右にずれたりするから動的。英語だとdynamicって言い方になる。」
「じゃあ、静的はstaticですか?」
「そう。静的軌道変位ってのは、保線の係員さんが目視や器具で検査を行う。これだと車両の重量なんかがあるときの状態は把握しづらい。」
「第三セクターの何とか線をEast iが走りましたってのは、そういうのを調べてるんだ。」
「うん。以前にはそうやって測定しに行った『Easti-D』が脱線しちゃった事故もあるけどね。」
「あ、ここに書いてあるのがそうだ。」
「他には保線の係員さんが営業列車に添乗して揺れ具合なんかの確認もしてるよ。」
「大昔に軽井沢から草津まで走ってた草軽電鉄っていう軽便鉄道では、脱線事故が日常茶飯事だったって聞いたことがあるよ。」
「そんなんで良いんですか?」
「良くはない。でもしょっちゅう起きるんで、線路に戻す載線作業も手慣れたものだったらしい。」
「ちょっと現代の日本では考えられないね。」




