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鉄道は鉄の道  作者: 宇美八潮
第二部「2年生編」
202/207

202.まくらぎ(4)

「俺、春休みに『紀州鉄道』へ行ったじゃない。」

「うん。」

「あそこ、まくらぎが1~2本おきにコンクリートになってた。」

「あー、それって以前起きちゃった脱線事故の対策で、設備改善をした成果だね。」

「やっぱりそうだったんだ。」


「枕木と脱線事故って関係あるんですか?」

「うん。木製のまくらぎが老朽化すると、レールの締結(ていけつ)に使ってる『犬くぎ』が緩み易くなることがあるんだよ。」

「あ、それは危険ですね。」

「レールがぐらぐらしちゃうよね。」

「特に曲線区間だとカーブ外側のレールに繰り返し遠心力がかかるから。」

「その力がレールにかかり続けてガタがくる感じですか。」

「そう。そして犬くぎの緩みが大きくなるとレールが外側にずれるようになって、軌間(きかん)、えっと、左右のレールの間隔が広がり過ぎて車輪がレールから落下する事故になる。」

「それで脱線しちゃうんですね。」


「ローカル線、国土交通省なんかは『地域鉄道』って言ってるけど、そのなかで設備投資や技術力の不足が深刻なところで発生してる傾向らしい。」

「いすみ鉄道が脱線事故で運休してるままだし、弘南(こうなん)鉄道の大鰐線(おおわにせん)も一時運転を見合わせてたよね。」

「いすみ鉄道は現在設備改善を行っていて、来年の秋ごろの一部区間再開を目指してるらしい。」

「そんなに時間がかかるんですか。」

「多分これまで限られた予算と人数で運営してたから、手が回らなかった箇所が多かったんだと思う。」

「そうなんですね。」

「軌間拡大による脱線事故の防止にかかわる意見ってのを運輸安全委員会が出してるんだけど、対応しきれなかったんだろうね。」

「しなの鉄道でも数年前に脱線事故があったでしょ。あれも木まくらぎの老朽化が原因だったはず。」

「そういえば、ニュースで見たのを思い出しました。でも、数日で再開した気がするんですけど。」

「確か発生したのが駅構内の側線だったよね。営業列車が走る本線には木まくらぎがほとんど無かったから影響が小さかったんじゃないかな。」

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