201.駅(6)
「鉄道ではどうなの?」
「現役ではちょっと思い浮かばないんだけど、徳島県に昔あったっていう小松島線。その終点『小松島』っていう駅の、更にその先に『小松島港』っていう仮乗降場があった。」
「え?終点の先に駅ですか?」
「そう。大阪や和歌山へのフェリーの乗降に便利なようにってことで、小松島駅構内の扱いで港の方へ伸ばした線路にホームを作ったんだって。」
「それで同じ駅なのに2つの駅名なんだ。」
「小松島港は小松島から踏切を挟んだところにあって、踏切越しに双方のホームを見渡せたそうだよ。」
「こういうのって多かったんですか?」
「多くは無いと思うけど、同じケースでは『稚内桟橋』っていう仮乗降場があったそうだよ。」
「何かで聞いたことある。」
「稚内駅構内の扱いで線路を伸ばしてホームを作ったんだって。桟橋と乗降場の間の通路を覆っていた『北防波堤ドーム』ってのが観光名所になってる。」
「テレビで見たのかもしれない。」
「あとは、春休みにナオが紀勢線に乗ったでしょ。以前は海南駅で『野上電気鉄道』ってのが接続してたんだって。」
「こないだ話してたね。」
「その始発駅が『日方』っていうんだけど、後から開業した紀勢線が日方駅とは反対側に駅舎を作ったらしいんだよ。」
「なにそれ。嫌がらせ?」
「そういうわけじゃないと思うけどね。野上電鉄は『連絡口』っていう国鉄乗り換え専用のホームを日方駅構内に作ったんだって。高架化で痕跡はないらしいけど。」
「あ、あの高架だった駅かな?」
「最後に新宿駅。」
「え?新宿にもそういうのあったんですか?」
「今の中央線、甲武鉄道が国有化される前後の話らしいから大昔のことになるけど、甲州街道沿いと青梅街道沿いの2箇所に電車ホームがあったらしいよ。」
「その頃って、例の路面電車みたいな電車だったんだっけ。」
「うん。だから路面電車の停留場に近い扱いだったのかもね。」
「東京駅丸の内側のバスのりばって北口側と南口側に分かれてるけど、昔走ってた都電も北口と南口のそれぞれに停留場があったそうだよ。」
「ああ、東京駅も大きいものね。」
「そのかわり、たしかそのものずばりの『東京駅』っていう停留場は無かったみたい。」




