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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第三章 その手を離さないで/never let me go
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20 島間交流2/何の迷いもなく、はっきりと

 視線がぶつかった瞬間、ぷいとあからさまに視線を逸らされた。

 

 ……なんだよ、全く……。


 1か月ぶりに見たキリンの姿は、遠目でも、そこだけ他の生徒達から浮き上がっているように見えた。

 

 降り注ぐ陽光を照り返して、その金色の髪は美しく輝いていた。

 

 陽光島の制服は、白銀島の制服と同じ形の色違いだった。すらりとしたキリンの体型に、その制服も良く似合っていて……。


 キリンが他の生徒の後ろに引っ込んで見えなくなった。


 とんとん、と誰かにわき腹をつつかれた。


 「ん?」


 白い髪の少女を見つめていた、リオだった。

 

 「コテツ君、あの、金色の髪の子が好みなの?」


 リオのささやき声に、俺は鳥肌が立った。


 「何でそうなるんだ?」


 「え、だって、あの子のことじっと見てるから……隠れちゃったじゃん。初対面でしょ? 気になるのは分かるけど、あんまり見過ぎると、ちょっと引かれちゃうかもよ」

 

 若干、先輩風の物言いである。

 何となく反抗したい。


 「リオだってじっと見てたじゃないか……」

 「僕らは、ほら、交際相手だから、さ。あれが僕の彼女の、ミルカだよ」

 

 さらっと、若干の余裕を含んだ返しに、俺は完全に沈黙した。

 

 ***


 引率のバルネスト教師と白銀島のファルメテウス教師がにこやかに挨拶を交わす。それから、二人の先導で生徒達が白銀島の学園の方に、それぞれの学園ごとの列を作って歩き始める。

 

 あいつ、何なのよ。

 じろじろじろじろ、人のこと見て。

 初対面の設定、忘れてんじゃないでしょうね? 

 先を行く、白銀島の生徒達の中に見え隠れする、青みがかった黒髪を睨みつける。

 

 「キリン」

 ミルカが、銀色に輝くお下げを揺らしながら声を掛けてきた。


 「あの黒髪の子、転入生だよね。私、初めて見るから」


 「え?」


 「ん? 何かすごい凝視されてたよね。あんなに見られたら、困るよね」


 「え、あ」

 

 ……あいつ、絶対許さない……。早速気付かれてるじゃないの……。


 「島間交流の間、結構、声かけて来る男子、いるかもだけど、嫌だったらちゃんとそう言うんだよ。避けられたら、無理に踏み込まないっていうのは、どっちの島でもちゃんと周知されてるから。それでも何かあったら、相談してね」

 

 「あ、うん。そうだね。さっきは、何か視線感じてびっくりしちゃった」

 

 ほんと、見過ぎなのよ、コテツの奴。何だって言うのよ。


 「かわいいから、しょうがないよ。宿命だね」


 「それはミルカの方だと思うけど」


 「私を見てたのは、彼氏。あれがリオだよ」

 

 おお……。

 何の迷いもなく、はっきりと言うもんなんだな……これが交際している男女なのか……。


 ミルカに視線を送っていた、日に焼けた男の子。元気で明るそうな子だったな。

 

 「ちょっと陰のある感じだけど、でも結構かっこいいと思うけどな」

 

 「ん? 誰のこと」


 え? 何ですって?

 

 「さっき、キリンのこと見てた男の子。何かモテそうだな」

 

 いやいやいやいやいやいや。

 ないないない。

 何を言っているのよ。コテツがモテそうですって??


 何やら、胸がざわざわした。

読んでいただいてありがとうございます!

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