13 悪人だなんて人聞きの悪い
※2章の6ー7話あたりと少しだけつながってます。
「ほ、本当に減刑してくれるのか?」
「警邏官は、嘘はつかないさ。これは取引だ。2か国の国家機密に相当する試作品を2機も盗んで、密輸した。本来なら終身刑だが……ま、務め方次第じゃ、出てこられる目もあるだろうさ」
俺は、その密輸業者の男に視線を合わせた。
「子供、生まれたばっかなんだろ?」
「……よっぽど、悪人じゃねぇか……」
「そんなことないだろう。盗みもしなけりゃ、嘘もつかねぇ。で、どこの国に運んだ? マルカンティアか? エクエスティアか? 外界ってことはないだろ?」
「……薬の国だ。ヘルバスティアだ」
「ヘルバスティア? 何でそんなとこに?」
「知らねぇよ。そもそも、積み荷が何かってことさえ知らなかったんだ。本当だって。とにかく、俺たちは輸送船を用意して、ヘルバスティアの端っこの離島……何だっけ……」
「女の子は、面会ぐらいできないと、本当に忘れられちゃうぜ」
「陽光島! 陽光島だ! そこの海岸に夜中に接岸して、次の深夜に積み荷が降ろされてるのを確認して、引き上げたんだ」
「で、皇金の延べ棒をもらった、と」
「……見たことない大きさだった。換金には苦労したけど……俺が話せるのは、もうこれだけだ」
「取引相手の顔は? 見たんだろ?」
「……見えなかった」
「お前な……」
「嘘じゃない、本当だ! 夕方だったけど……黒いフードの下の顔は……全く、見えなかったんだ。気味悪かったけど……」
黒男か。
科学の国スコラスティアと魔法の国マゲイアティアが共同開発していた、巨人型ゴーレム兵器。そのプロトタイプが、マゲイアティアの格納庫から2機も、半年前、忽然と姿を消した。
立ち上げれば、2階立ての家を超える高さのゴーレムだ。簡単に運べる代物じゃないが……
マゲイアティアから、船籍不明の貨物船が航行した形跡が、スコラスティアの海路調査で浮上し、あぶり出したのがこの業者だった。
ゴーレムは、ヘルバスティア、か。
ヘルバスティアの陽光島……。
コテツ達5人に潜入依頼中の島の一つじゃないか……。
何かと騒がしいな、あの国。あの島の周辺。
偶然か?
いや。
偶然にしては、重なりすぎか。
コテツ達と共同戦線、ということにもなるかもな。
卒業してからも、つくづく絡みが多い連中だ。
まぁ、そうじゃなくてもキリンについては、監視対象として、見てなきゃいけないのだが。
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