表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第三章 その手を離さないで/never let me go
PR
108/142

11 邪推かもしれないけど

 その学園での生活は、規則正しく、穏やかで、和やかで……楽しかった。


 生徒は全部で13人。

 男子が6人で女子が7人。なので、私達3人を入れると16人。男子が8人、女子が8人。ぴったり半数ずつになった。


 午前中2コマ、午後2コマの授業を週5日。

 お昼は、教室で給食を食べる。専属の調理師さんがいて、海で豊富に採れる魚介や海草、それから敷地の畑の野菜、飼われている鶏の卵が中心で、どの料理も新鮮で美味しい。


 学業は、警邏官学校に比べれば(あそこは特殊なので)容易な内容だった。授業の内容は基本的な共通言語の学習や算術学習、歴史の授業、それから校庭でのランニングや球技などのごく普通の体操・体育。そのうち、海での水泳もあるらしかったが。


 午後のコマに特色があって、ヘルバスティア特産の繊維植物「ナフテル」の加工や、それを使った洋服織り器の実習か、これもヘルバスティアで発達している薬品や化粧品用ガラス瓶加工の実習を選べる。女子は洋服、男子はガラス瓶に集まることが多い。卒業後、ヘルバスティアのアトリエや工場に見習いとして入って、就職する生徒も多いそうだ。

 

 それから、もう一つ。


 定期的に「身だしなみ」や「コミュニケーション」に関する「教養」の授業がある。髪の毛の整え方や、それこそ、私が気になっていた、ミルカの素肌の白さの秘訣になるような、日焼け止め化粧水の使い方、それから洋服の着方、魅力的に見える仕草、話し方、声の出し方、などなど。


 仕事に就くための教養、というのが理由らしいが……これがこの学園の生徒達が、妙に、なんて言うか、そう、それぞれ、美しく魅力的に見える理由の一つなのだと思う。

 

 少し特殊なのは、この「クレイモア学園」に通っているのは、親元から離れて寄宿舎で暮らす生徒が半分、島の中の孤児院から通う生徒が半分、ということだった。


 どうも、この島の資産家により、孤児院の生徒のための学校として設立されたらしいが、ある時期から一般の生徒も受け入れるようになった、と。


 試験自体は難関というほどではないらしいが、合格は人物試験が重視されると聞いた。孤児院から通う生徒も、みな同じ試験を受けて入学しているらしい。

 確かに、その結果は生徒達の人柄によく現れているように感じられた。

 

 それと……これは邪推かも知れないが……。


 「キリン、教室に戻りましょ」

 私は、ミルカの笑顔に目を奪われた。


 ああ、ミルカの笑顔が眩しい。

 

 この、初日に会ったミルカが特別なのかと思ったけど、他の生徒達も、何というか、みんな……そう、「美しくて素敵な生徒」なのだ。

 

 それぞれ、もちろん性格の違いはあるのだが、一様に穏やかで明るく、社交的。特に、何というか、男女の仲が良いように感じた。同性同士もそうなのだけど、14・5歳というと、いよいよもって異性を強く意識し始める、そんな時期。やけに親密になったかと思えば、その裏返しで、それこそけんかしたり、そっけなくなったり、ちょっと距離感の取り方が難しくなったり。


 別に自分のことじゃないが。

 

 そういうのが、全く、ない。


 みんな一緒に楽しそうに話している。

 しかも、美形。


 試験の項目に、外見も入っているのではないだろうか。

 

 そのような性格も外見も美しい生徒達に囲まれた、自然豊かな離島の学園生活に浸って、はや2週間。

 

 私は洋裁の実習室から、ホームルームのために、笑顔のミルカと一緒に教室に向かつた。


 ***

 そう、その時は、ただ、素敵な笑顔、とだけ思っていたのだった。

読んでいただいてありがとうございます!

もしよければ評価★★★★★・ブクマ、感想等いただけたらとっても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ