表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

#14:魔族の長

ヴァルキュリアの城で女王から魔族の長の真実を教えられ、

いよいよ僕達は魔族の城へと向かう準備をしていた。

そこへ魔王の城と交戦を行っていたヴァルキュリアから報告があった。


「女王様!

 ついに魔族の城の魔族達を一掃しました!!

 しかし魔族の長の魔力はとてつもなく、皆やられてしまいました。

私も報告が終われば用済みであるとの呪いが・・・ガァッ!!」


何と、報告を終えたヴァルキュリアは血を吐きその場に倒れてしまった。

すぐに女王が告げる。


「救護班!すぐに救護を頼む。しかしもう手遅れかも知れぬがな。

 しかし魔族の長め・・・

 これではいくら軍を送り込んでも勝ち目は無さそうだな・・・。」


「女王様!僕が行きます。何よりこれは僕が引き起こした事だ。

 ちゃんと自分でケリを付けたいんです。」


「あぁ、そう言うとは思っていたが、一応仲間と共に行け。

 お前を守る盾となるだろう。

 犠牲を厭うな。ヴァルキュリアは気高い。

 お前はお前のやる事だけに集中するんだ。良いな。」


女王の言葉はつまり、イザとなれば彼女達を犠牲にして

自分は生き延びろと言うアドバイスだった。

だけどそんな事が出来るはずが無かった。僕は全員で生きて帰る。


「はい、わかりました。だけど、僕は僕のやり方で行って来ます。」


こうして僕達はいよいよ魔族の長のいる魔族の城に向けて歩き始めた。

途中にあった町や村ではいつものようにマゾと一般女性、

それにヴァルキュリア達が暮らしていた。

魔族の城が近い事から防衛態勢も重厚になっていた。


そうしてヴァルキュリアの城から3日程経ち、魔族の城が見えて来た。

禍々しい黒い城からは、既に魔族達の気配は無かった。

しかしそれでも怪しいオーラを放っているように感じた。

魔族の長、つまり僕の元いた世界での元彼女は、一体どんな姿になり

この世界を、そしてマゾを作り出したと言うのか。


城の中では、魔族とヴァルキュリアの遺体が数多く転がっていた。

本当に激しい戦闘が連日連夜繰り広げられていたのだ。

ひよる達はそれをとても悲しそうな目で見ながら進んだ。

ただ奥へと向かうだけでも相当奥深いように感じた。

城の中と言うよりは半分ダンジョンのような印象だった。


最奥まで進んだ時、重厚な扉が現れた。

いよいよと言う事か。


ひよるが重い扉を開いた。


━ギィィィィ━


扉を開いた奥には、玉座に座る魔族の長、そして僕の元彼女が座っていた。



挿絵(By みてみん)画像

魔族の長との邂逅



「ようこそ、いらっしゃい。やっと来てくれたのね。」


辺りには最後の戦いで敗れたヴァルキュリア達の亡骸があった。


「真央!本当に、お前だったんだな・・・。」


僕は改めて女王から言われた事が本当だったとこの瞬間確信した。


「そんな女の子の格好までしちゃって、やっぱりマゾが治ってないの?」


「コレは、違うんだ。こうした方が気分が盛り上がるからってひよるが」


「うるさい、黙りなさい。やっぱり言い訳するクセは治ってないのね。

 良いわ。金魚のフンみたいに付いて来たソイツらをまずは片付けるわ。」


そう言うと真央はファートの体を宙に浮かせた。


「わ、わ、何だ!?

 コレは魔力と言うヤツか!?」


そして次の瞬間、ファートを弾けさせてしまった・・・!!


「嘘・・・だろ?

 何て事をしてくれたんだよ、真央・・・!!」


「別に、アタシからしたらヴァルキュリアの一匹よ。

 アンタは一緒に冒険して特別な思いがあったのか知らないけど、

 弱いから悪いのよ。誇りなんて無く簡単に散ったわね。」


カーラが怒りを露わにして真央に斬りかかろうとしている。

それをひよるが制止した。


「落ち着け、カーラ!!

 お前もファートの二の舞になるぞ!!

 今は身の安全を第一に考えるんだ!

 私よりも強い剣士のお前を失ったら、私は一人でどう戦えば良いんだ!」


しかし真央は容赦なくカーラに針のような魔力を飛ばして来た。


「がはぁ!!!!」


カーラが血を吐き目を見開く。全て命中したようだ。

血が滴り、どう見てももう非常に危ない状態だ。

ひよるが叫ぶ。


「カーラ!今すぐに近くの村へ戻ろう!

 このままではお前、死んでしまうぞ!!」


しかしカーラは死んでしまってもおかしくない状況にも関わらず、

真央を睨み続けて剣を向けた。


「私は気高きヴァルキュリアだ!!

 この命と引き換えに貴様を倒す!!」


そうして彼女は気力だけで真央に向かって行った。


━ドチュッ━


一瞬、何が起こったのかわからなかった。

カーラの上下から分厚いレンガが現れて、そこにカーラを挟んだ。

こんな終わり方って、何だよ・・・。

こんな簡単に、ずっと一緒に旅をして来た仲間を失って、

僕は一体どうすれば良い?次はひよるなのか?

僕はひよるを抱きしめて守った。


「ひよるに何かしてみろ!!

 僕が巻き添えになるぞ!!」


「ふぅん、その子が一番のお気に入りってワケね。

 それじゃあ、一番酷いやり方で殺してあげなくちゃね。

 簡単に殺しちゃ面白くないし、長く苦しめる方法が良いよね。」


「真央!!

 何でそんな事をするんだ!!

 お前は僕がドMだった事を受け入れられずにフった。

 だけどそれを後に後悔し、いっそ世界の男が全部マゾなら

 受け入れられたかも知れないと思い過去に行こうと考えた。

 そこで頼った黒魔術の副作用でこの世界に来た。

 それなら、ヴァルキュリア達を傷付けて命を奪う理由は無いだろ!!」


「気に入らないのよ。

 最初からマゾ達を受け入れて、アタシの悩みがバカみたいじゃない。

 高潔な魂だなんて、普通の人間だったアタシは持てなかった。

 そんな漫画みたいな綺麗事を体現したヴァルキュリアは必要無いの。」


「私達だって、高潔なだけじゃない!!

 普通に性欲だってあるし、時には間違いも起こしてしまうんだ!!」


ひよるが言ったが、火に油を注ぐだけだった。


「うるさいわね!!

 アンタらの考える間違いなんて、アリを踏んじゃいましたとかでしょ。

 もう取り返しが付かないくらい過ちを重ね続けた人間の痛みは

 ファンタジー世界のキャラクターのアンタ達にはわからないわよ!!」


そう言うと真央は、ひよるを黒い丸の中に閉じ込めてしまった。


「そうして、永遠の孤独と闇の中で暮らせば良いわ!!

 それがアタシが苦しみ続けた空間よ!!」


真央は、彼女はそれほどまでに苦しい中で一人悩んでいたのか。

僕は真央に駆け寄り、抱きしめた。


「真央、ごめん!!

 そこまで苦しんでいただなんて、気付いてやれなくて本当にごめん。

 ずっと一人で辛かったな・・・頼りなくて本当にごめんな・・・。」


「うるさいわよ!!

 アンタの事なんて、本当にもう何とも・・・!!

 う”ぅ・・・この、バカ!!!!

 もうアタシ、かなり魔族化してしまってるわよ。

 もう今更、元の世界になんて戻れないくらい、

 魔族になっちゃってるわよ、本当に・・・バカ・・・。」


真央は大粒の涙を床に零した。

僕はこれ以上何も言えずに、ただ立ち尽くした。


「本当にもう、やり直せないのか?

 今度はマゾをちゃんと治して接したいんだ。」


「違うわよ、バカ!!

 マゾが大好きだって言う事を言えずにいた自分に

 腹が立っていたのよ!!

 だってマゾが好きとか、言えないじゃない!!

 マゾ達は皆、自分が社会的に恥ずかしいとか考えてるけど、

 マゾを好きな側だって同じかそれ以上に悩んでるのよ。

 もっとマゾを受け入れる社会が欲しかったの。

 ただ、それだけなのに・・・たくさん、壊しちゃった・・・。」


そこには真央の『もうやり直せない』後悔が込められていた。

そこへ、ヴァルキュリアの女王がやって来た。


「派手にやってくれたな。

 どうじゃ、白と黒の城の主同士、話をせぬか?」


彼女は真央を責め立てるでもなくただ冷静に言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ