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#12:マゾ君との決着

ヴァルキュリア処刑場での魔族の行為に思わず飛び出したファートだが、

そこには何の勝算も無かった。


「コレ以上、ヴァルキュリアを愚弄するなー!!」


ファートが魔族達に斬りかかり、そのあまりの数の多さに

ひよるとカーラ、そして僕も参戦せざるを得なくなってしまった。


捕らえられているヴァルキュリア達はもう満身創痍である事と

そのほとんどは手錠で繋がれたりしている為、この戦闘は

僕達4人だけで行わなければならない。

魔族達だけなら良いのだが・・・。


するとやはり、あのマゾと魔族のハイブリッド『マゾ君』が

この場に走って来るのが見えた。僕は警告をした。


「マゾ君が・・・来たぞ!!」


すぐにひよるとカーラが向かう。

僕とファートで魔族達を対処しろと言う事だ。

しかし、あの二人でも勝てるとは思えない。

何せ10人のヴァルキュリアが一気にやられたんだ。

僕は不安になり振り向いた。

その瞬間、二人はこちらへと投げ飛ばされていた。


「うわあぁぁぁぁぁ!!!!」


飛んで来る二人が僕にぶつかり、それはとても強い衝撃だった。

骨が折れたかと思うくらいのものだが、幸い傷は浅かった。


「二人とも、大丈夫か?」


しかし二人は投げ飛ばされたのでは無く、

腹部にパンチを喰らったのだとわかった。

腹を抑えながら言葉の無い二人。

その表情は悔しくも何も言えないようだった。

マゾ君が滾っている。


『オ前達、殺ス。俺、セッカクマゾヲ食ベテイタノニ。』


食べていた!?マゾを、食べていたと言うのか!?

僕はゾッとしたが、これ以上彼女達に危害を加えさせたら殺される。

僕はマゾ君の前に立ちふさがった。


『何ダァ、オ前ハァ?

 女ノ恰好ヲシテイルノニ、匂イハオスダナ・・・。』


こいつも元はマゾ男性だったはずだ。

そして魔族の遺伝子を組み込まれた事で加虐衝動が暴走している。

それならば・・・ヤツのマゾ性を狂わせてやる。

僕はこの土壇場の状況で賭けに出た。もうコレしか無かった。

僕は咄嗟に、その辺に落ちていた丁度良い棒きれを手に取った。


そしてそれをマゾ君の尻の穴めがけて突き刺した!!


『アヒイィィィィーーーー!!!!』


突然の衝撃にマゾ君は崩れ落ちた。

そして恍惚の表情を浮かべている。

さぁ、反撃が怖いぞ・・・。


・・・。


しかし、反撃は来なかった。

代わりに「もっとやってぇ☆」と言う言葉が聞こえた。


僕は尻の穴に入れた棒きれを出し入れしてみた。

するとマゾ君は「アッアッ」と情けない声をあげた。

やった。やっぱり結局はコイツもマゾだ。


僕はトドメにと思い、少し高い高台の上からジャンプした。

そしてマゾ君の尻に突き刺された棒を目掛けてヒップアタックした。


『ンギモ”ヂ良イ”ィィィィィーーーーー!!!!』


マゾ君は大量に白濁液を放出し、果ててしまった。

僕自身にも棒の先端が少しめり込み、目覚めそうになってしまった。

だが、ひよる達が見ていると思い出して正気に戻った。


僕が目を向けると、ひよる達は一般の魔族達をほぼ一掃していた。

メス臭い汗のにおいをまき散らしながら、ファートが言った。


「ふぅー、マゾ君抜きなら一般の魔族達、敵じゃないな。」


ひよるが少し悔しそうに言う。


「これまで多くのヴァルキュリア達が犠牲になって来たのか・・・。

 私達がもっと早く来れていれば・・・。」


そして最後にカーラが言った。


「だけど、これでもう研究所は機能しない。

 ここからは人類の反撃の時だ。」


こうして僕達はマゾと魔族のハイブリッドのマゾ君を倒し、

捕らえられていたヴァルキュリア達を助けたのだった。


ひよるがヴァルキュリア達に尋ねた。


「あなた達はこれから祖国に帰ると思うが、

 ここから北東に行った先には何があるのか、

 知っている方はいないか?」


一人のヴァルキュリアが声をあげた。


「ここから北東に行った先にはヴァルキュリア城がある。

 私達もそこへ帰還するから、付いて来ると良い。

 最も、その多くは魔族の城へと向かっている者が多く、

 そのためにこちらの研究所へ割ける人員が少なかったんだがな。」


何と、魔族の城と交戦しているのか!!

いよいよ冒険も後半に入って来た感じがした。

そしてヴァルキュリア達の城か・・・と僕は妄想した。

それは女の花園。僕は女装しているとは言え、入っても良いものか。

そんな所へ行ったら、理性がどうにかなってしまいそうだ。


ひよるが僕に耳打ちをした。


「結局、生き残ってしまったな。

 まぁでも、こうなったらもし冒険が終わった後、

 これから昨日みたいな事があるかも知れないな。」


少しニヤリとした顔をした彼女は、もう今までの乙女では無い。

確実に二人の秘密を共有した大人の女性だった。


アタフタしている僕に、カーラが言った。


「どうした、みぎゃー?

 ひよるに何かマゾ的な言葉を囁かれて、それで喜んでるのか?」


まぁ、当たらずも遠からずだ。

僕は「さぁね。」と適当な返事で誤魔化した。


だけど本当に、もしこの世界のマゾ化の謎を解き、

全ての冒険の目的を達成した時、僕は元の世界に戻れるのだろうか。

そしてそもそも僕はもし選べるのだとしたら、

本当に元の世界に戻る事だけが幸せな道なのだろうか。

ふと、そんな事を考えた。


昨夜のひよるとの一夜。

それを通して僕は彼女に特別な思いが芽生えていた。

明日死ぬかも知れない。そんな彼女を泣きながら抱きしめた。

僕は本当に元の世界へ戻りたいのだろうか。

それともここでずっと冒険を・・・いや、それは無理だ。

いつかは必ず終わりが来るだろう。

そうした後、一体どうすれば・・・。

だけどそれは今考えてもどうしようも無い事だった。

僕は一旦それを忘れて、旅を続ける事にした。


10人程の捕らえられていたヴァルキュリア達はさすがに心強く、

ひよる達はその輪に加わり城までの道中はとても楽に進んだ。


途中でいくつかの町や村を通り過ぎ、多くの魔族と戦った。

それにしても、あの時僕が判断を誤ればこの人達は今いない。

本当にあの時、勇気を出してマゾ君と対峙して良かったと思った。


やがてヴァルキュリアの城が見えて来た。

白く気高い気品を宿した城。

そこにいるのはもちろん、ヴァルキュリア達だ。

南の方へと行く軍勢があった。

魔族の城と交戦をしているヴァルキュリア達だ。


僕は一人のヴァルキュリアに聞いた。


「魔族の城との交戦って、そんなに長く続いてるの?

 今、一体どちらが勝っているの?」


すると、ヴァルキュリアは答えた。


「ほぼ同じ・・・だと思いたいですが、

 あまりに数が多く、実体は把握出来ておりません。

 ただ、アチラの長は相当な魔力があると思われ、

 そこに辿り着いた瞬間に一斉にやられる事も想定しています。」


衝撃的な答えだった。

魔族の長の魔力とはそこまでの力が想定されているのか。

そうなれば、それまでの戦いは単なる前哨戦だ。

そんな圧倒的なものと僕達は話をしに行こうとしている。

さっき冒険が終わった後の事を考えたものの、そもそも

無事に冒険が終わる事の方が少ないのかも知れない。


それにしてもここは空気が良い。

そこら中に漂っているであろう空気はヴァルキュリア達が吐き出したもの。

そう考えると僕は思い切り空気を深呼吸して吸い込んだ。


「ゲホッ、ゲホッ!!」


そうすると、当然のようにむせた。


その様子を見て呆れながらひよるが言った。


「何をしているんだ。女王に会いに行くぞ。」


ヴァルキュリアの女王・・・そうか、城だから当然だ。

もしかすると女王なら、いやきっと必ず何か、

魔族の長に関する情報を知っているはずだ。

僕は先ほどのよこしまな気持ちを正して、女王に謁見する事にした。



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