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薫香の令嬢はリドルを溺愛する王弟に愛される  作者: 今尾曜


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23 追求 2

今日はちょっと短めです。

「王妃様はあなたのような恥知らずではないのだ」


 デリクは苦々しげに言った。


「お側に仕える騎士がこのようなことをしでかしたとなれば、皆が今回の黒幕は王妃様だとまことしやかに噂するだろう。そんな不名誉にあの方は耐えられない……」


「そうだろうな。では、取引をしよう。おまえが知っていることをすべて話せば、今回のことは伏せる。王妃の名は出さず、おまえは誤った捜査でルナの名誉を傷つけた責任を取り、王宮を去ってもらう」


「それは……」


「不満なのか? ずいぶん甘い処分だと思うが? まあ、嫌ならいい。おまえがしたことを明らかにして、主である王妃様の責任を問うだけだ」


 デリクはくやしげにヴァンレードをにらみつけたが、しばしの沈黙の後、覚悟を決めたように小さくうなずいた。


「……わかった」


「王妃様は本当にイルカランの毒を持っていらっしゃるのか?」


「こちらに嫁いで来られる時に持ち込まれた。元より望まれた輿入れではない。辱めを受けるようなことがあれば自害するおつもりだったのだ」


「そうじゃないだろう。邪魔な者を排除するために持ってきたんじゃないのか?」


「ご自分の身を守るためのものだ」


 デリクは声を荒げた。


「お立場が脅かされることがなければ、お使いになることはない。いわば、お守りのようなものだ。それに、今もお持ちであるかどうかはわからない」


「どういうことだ?」


「半年ほど前、国王陛下が王妃様に毒を持っているかとお尋ねになった。なぜ、突然、そのようなことをお聞きになられたのかわからなかったが、王妃様は否定なさるしかなかった。もし認めたら、いろいろと詮索されるに違いないからな。陛下はそれ以上何も仰らなかった。王妃様からはその後、すぐに毒を処分したと聞かされたが、私は安心できなかった。万が一のことを考え、密かにイルカランの毒を手に入れ、常に持ち歩いていた。何かあれば、すぐ私のしたことだと言えるように」


「王妃様に忠誠を尽くすのは勝手だが、そのためなら他人の命がどうなろうと構わないという思考が気に入らない。だいたい、使われたのはシィルの毒だったのに、なぜ王妃様の仕業だと思った?」


「王妃様付きの侍女に相談を受けていた。王妃様がひそかにイルカランとは別の毒を手に入れようとしていると。もしかして、ご自分の仕業だとばれないように、違う毒を使って何かしようとしているのではないかと思った。私は、あの方を信じ切れなかったんだ」


「お茶会のお茶を準備したのは、その侍女なんだろう?」


「そうだ」


「だったら、そっちを疑うべきじゃないか」


「女はまだ牢にいるが、毒など入れていないと言っている」


「はっ、おまえは最初からマーラのせいにするつもりだったから、ろくに調べもしなかったんだろう。そもそも侍女の話を鵜呑みにして、王妃様を疑ったりするからおかしなことになるんだ。まだはっきりとは言えないが、たぶん今回のことを仕組んだのは王妃様じゃないと思うぞ」


「なんだと?」


 デリクが目を見開いた。


「マーラは誰かに操られていた。そんなことができるほどリドルについて詳しい者が、王妃様の周囲にいるのか?」


「それは⋯⋯」


「そもそも俺に危害を加えたいなら、機会はいくらでもあったはずだ。わざわざご自分が主催する茶会で騒ぎを起こす必要があるか? 誰か別の人間が黒幕だとしか思えない」


「……確かに。余計なことをして、王妃様の名誉を傷つけたのは私なのか」


 うなだれるデリクに、ヴァンレードは厳しい目を向けた。


「すべて片付くまで、騎士団の寮にいてもらう。見張りをつけるから逃げようなんて思うなよ」


 デリクは扉の前で待機していた騎士たちに囲まれ、部屋を出ていった。


 入れ替わりにギゼルが入ってきたが、ヴァンレードを見て不思議そうに聞いた。


「どうして棍棒なんか持ってるんです?」


「剣だと殺してしまうかもしれないだろう? 相手は王宮の兵士だ、死なせるわけにはいかないからな。そんなことより早く用件を言え」


「はい」


 素直にうなずくと、ギゼルはヴァンレードの耳元で何事かささやいた。


「やはりそうか。陛下にすぐお会いしたいと伝えてくれ。状況を説明したいからと」


「わかりました」


 ギゼルが出て行くと、ヴァンレードは目を閉じて空を仰いだ。


「犯人はリドルを操るすべを知っていて、王妃様が毒を持っていると知り得る人間。計画を実行できる財力があり、王宮内の事情にもくわしい。そして、俺や王妃様を邪魔だと思っている」


「ヴァン? 犯人がわかったの?」


 ヴァンレードは答えなかったが、ルナリアに向けられた顔には、見ているこちらまで胸が痛むほどの、悲しみに満ちた表情が浮かんでいた。


「行こう」


「どこへ?」


「陛下のところだ。今ならまだ執務室にいらっしゃるだろう」


 廊下に出ると、王宮警備隊の兵士たちが数人、床に倒れている。


「大丈夫、気絶しているだけだ」


 ヴァンレードは事もなげに言うと、ルナリアの手を引いて廊下を進んだ。


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