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ミルヒ  作者: ハルマツイブキ
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12月25日

クリスマスイブの雰囲気を味わい、そして朝目覚めると、どこか特別な日のような気がするのは子ども時代から楽しい思い出を刷り込まれているからであろうか。実際にはただアルバイトがあるだけであるのに。今日は全く寒くなかった。ロマンチックに雪が降るようなことは全く期待できないような、そんな日だった。

これからカップルたちに奉仕をするアルバイターとしては、雪ぐらい降って特別感を味わいたいものだと思ったが、神様は私に無心で黙々と作業をこなすことを求めているようであった。今年はまだ一回も雪が降っていないくらい暖冬であるので、地球は大丈夫であろうかと心配もした。


クリスマスだからと言って私の一日は特別なものにはならない。いつもの時間に目を覚まし、遅い朝食――もしかしたら昼食――を食べ、ネットサーフィンをしながらテレビを見ながらごろごろする。大学は冬休みに入っており、行くこともない。アルバイトの時間までなるべく体力を使わないように心掛けていた。

そもそもクリスマスに特別なことをするのは若いカップルくらいなもので、平日であれば社会人は仕事に行くし、子どもは学校に行く。居酒屋でクリスマスコースを楽しめるのなんて大学生ばかりであろうと思うのだが、予約表を見る限りどういうわけかその年齢層は幅広かった。みなさんクリスマスに踊らされているんだなあと感じたがそれは恋人がいない人の見解であり、その感情を抱くことがどこか敗北感を味わわされているような気がした。


そう、今日は何もない、私にとって特別でも何でもない、ただの平日。人脈も人望もない私には誰からもメリークリスマスとかそういった文言のメールが来ることもなく、好きな人のためにこの日まで隠していたプレゼントを渡すこともなく、誰かと一緒にケーキを食べることもない。枕元にプレゼントが置いてあることもなく、煙突から誰かやって来たりもしない。そもそも私の暮らしているアパートに煙突がない。そんなことを考えていたら、アパートに住む子供に対してサンタクロースはどうやってプレゼントを渡すのだろうかという疑問が浮かんできて、しばらくしてそんなこともどうでもよくなって、自分にどうしたら恋人ができるのであろうかとか、イケメンだったら今頃女の子に困ってないんだろうなとか、清水さんは今頃アニメ見てクリスマス満喫してるんだろうなとか、清水さんはどうしたら振り向いてくれるんだろうなとか、清水さんとクリスマスコース食べたいなとか、清水さんと雪の降る街を二人で手をつないで歩きたいなとか。清水さん。清水さやかさん。


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