第八話
8.
「春月はダレス国の出身で、『川流し』の最初の犠牲者…?」
にゃおーん、と鳴き声を上げると黒猫は俺を置いて森の奥に入って行った。
「ちょっと待て、ここまで言っといて逃げるのか!?」
追いかけようと足を踏み出した途端、足元が発光し始める。
「これは移動用の魔方陣…?」
先程から足元をうろちょろすると思ったら、これを描いていたようだ。初めからこれ以上は話さないつもりだったらしい。第一印象は間違っていなかった…あの黒猫、とんだ食わせ物だ。
気が変わったのかソイツはくるりと振り返り、笑った…ように見えた。
「僕が話したこと、春月には言わないでよね」
念押ししたかっただけらしい。
「お前、どういうつもりで俺に話したんだ!?」
俺に何をしてほしいんだよ。
「時間切れだよ。また、気が向いたときに話し合おうじゃないか」
そういうと光は強くなり、何も見えなくなった。
「どういうつもりで、だ?ふざけるなよ…あのクソガキ」
見えなくなった少年に悪態をつく。お前が忘れたせいで春月は傷ついたんだ。もう、誰にも掬いあげられないんだよ、身内じゃ。
「何もできない自分に一番腹が立ってるんだ」
今頃、甲斐甲斐しく世話しているだろう彼女を思った。
「辛かったね…」
予知の通り、子供は保護できた。今後を考えると頭が痛いが、一先ずは命を助けられてよかった。
年の頃は10歳くらいか。黒髪黒目の典型的なダレス人だ。未だ続けられている忌まわしい風習…というには新しすぎるか…に吐き気がするとともに、罪のない子供たちに申し訳がなかった。
「ごめんね」
『川流し』の最初の犠牲者と言えば被害者だが、この子たちからしたら私は加害者とも言えるのだろう。この風習は私を殺すために作られたのだから。
「君たちには罪は無いの」
全てが私のせいとは思わないが、半分は私の罪だ。それ程までに私の力は強すぎる。強すぎる力は破滅を招く…もっともな言い分だ。だから、ここに隠れ住む。
「どうやら、君もそんな力の持ち主のようだし…どうしたものかなぁ」
にゃー
「おかえり、シェリフ。セルは帰った?」
手が離せない私の代りにシェリフにセルの傍についていてくれるように頼んだのだ。
「無事に帰ったよ…で、その子はどうするの?」
「この子の気持ち次第だけど、いかんせん力が強すぎる」
オウセレ国に移住するならするでフォローが必要になる。
「制御装置がいるの?」
制御装置…力を一定に保つために魔力を吸う石のことだ。
「それだけじゃ心もとないんだよね…」
何かあってからでは遅いのだ。傷つくのは周りだけではない…この子の心にも傷を残してしまう。
「一時は様子見のつもりでいるわ」
春月の過去は壮絶だったりします…大袈裟かな?
今回もありがとうございました!!
頑張りますのでまたきてくださいね?




